アメリカのベランダ(バルコニー)は洗濯物を干す作りになっていない(写真/著者提供)
アメリカのベランダ(バルコニー)は洗濯物を干す作りになっていない(写真/著者提供)

 1月11日にもなって今更あけましておめでとうございますではないだろうと思うのですが、2022年初回の原稿なので年始のご挨拶をさせてください。今年もよろしくお願いいたします。

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 皆さんにとって、2021年はどんな年でしたか。わたしは家事ばかりしていたような気がします。年初にアメリカから日本に本帰国してきてちょうど1年。コロナでどこにも行けず、また年の半ばに3人目の子どもが生まれてずっと家に張り付いていたことも影響していますが、アメリカと比べて日本は家事に手間がかかると実感した1年でした。

 まず、食器洗いがそうです。せっかく日本にいるからと和食を作る機会を増やしましたが、和食はアメリカンなごはんと比べると食器も調理器具も数が多くなりがちです。掃除もそうで、日本の家は狭めだからか凹凸が多いからかホコリがたまりやすく、1日に1回は掃除機をかけるようになりました。アメリカの家では、大きな声では言えませんが3日に1回お掃除ロボットを走らせるくらいで十分だった気がします。それから、ゴミの分別。もちろん分別してリサイクルする大切さは理解していますがアメリカの基準より厳しいその手間、何より「明日は2週間に1回しかない不燃ゴミの日」などとゴミ出しカレンダーを常に頭の隅っこにかけておかなければならない心理的な負担が大きいです。ゴミ出し予定に合わせて食事の献立を組んだりもしますから。

 そして、洗濯です。とにかく洗濯。何はさておき洗濯。2021年、これほど洗濯に時間と体力と気力を費やすことになるとは思ってもみませんでした。朝起きたら真っ先に洗濯物を洗濯機に放り込み、洗いあがったら一枚ずつパンパンとしわを伸ばしてハンガーにかける、またはよく乾くよう風の通り道を意識してピンチハンガーに吊るす、それから遅くとも午前10時頃までにはベランダに干し、冬場は午後3時頃までに取り込む、そしてソファに乾いた洗濯物の山を広げ、子どもや夫が帰ってきてソファを占領する午後6時頃までにたたみ終える、と、もう洗濯のルーティンだけで1日のスケジュールが固定されてしまいます。

 ただしこの予定はあくまで理想であり、ここにイレギュラーな予定が追加されていくのが現実です。子どものおもらし、吐き戻し。食べ物を盛大にこぼしたり、泥で派手に汚してきたりすることもありますし、週末には子どもたちが幼稚園・保育園から持ち帰ってくる体操服やスモック、お昼寝布団があります。そして雨が降るとすべての予定が一回休み、翌日に持ち越されます。

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大井美紗子

大井美紗子

大井美紗子(おおい・みさこ)/ライター・翻訳業。1986年長野県生まれ。大阪大学文学部英米文学・英語学専攻卒業後、書籍編集者を経てフリーに。アメリカで約5年暮らし、最近、日本に帰国。娘、息子、夫と東京在住。ツイッター:@misakohi

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