食料を受け取る人たち。女性の姿も目立った(撮影:野村昌二)
食料を受け取る人たち。女性の姿も目立った(撮影:野村昌二)

 イベント関係の仕事をしていたが、コロナの影響でイベントは軒並み中止になり収入はほぼ途絶えた。フリーランスなので失業給付ももらえない。

 ハローワークに行っても、年齢が壁となって仕事は見つからない。今は細々と友人の仕事を手伝っているというが、収入は以前の10分1以下。

 家賃は4万円。これに電気、水道、ガスなど公共料金を払うと手元にはほとんど残らない。男性は訴える。

「先が見えない。何で、こんなことになってしまったのか」

 家族4人で暮らす都内の男性(40代)も、コロナ禍で仕事をなくした。今日は、2歳になる娘のおむつももらえたという。

「こういう支援は本当にありがたいです」

主催団体の一つ、一般社団法人「つくろい東京ファンド」代表理事の稲葉剛さんは、こう指摘する。

「公助が十分に機能していない」

生活保護に対する偏見や、支援制度の条件の厳しさといった課題もあるという。

「感染の第6波への警戒感が強く、今も雇用が不安定化している。現金給付や家賃補助など、国の経済支援の拡充が必要だ」(稲葉さん)

(AERA編集部 野村昌二)

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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