世界中で感染拡大が続く新変異株「オミクロン」。国内でも市中感染が報告され
世界中で感染拡大が続く新変異株「オミクロン」。国内でも市中感染が報告され

 国内でもオミクロン株の市中感染が見つかった。ワクチンの十分な量の輸入の目途が立たない中、ブースター接種が可能になるまで、時間稼ぎをして感染拡大のスピードを抑えるしかない。AERA 2022年1月3日-1月10日合併号から。

【データ】デルタ株とオミクロン株 各ワクチンの発症予防効果の違いは?

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 2021年11月下旬に南アフリカなどから初めて報告された新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」は、1カ月も経たないうちに世界を席巻しつつある。各地で、それまで流行していたデルタ株と次々に置き換わっている。

 ロンドンでは新規感染者に占めるオミクロン株への感染者の割合がすでに90%を超えたとみられている。オミクロン株の拡大を受け、英国の新規感染者数は21日には9万人を超え、史上最多を記録した。

 米国でも感染者が増加に転じた。12月12~18日の週にウイルスを解析した新規感染者の73.2%がオミクロン株への感染だった。前の週の12.6%から大きく増えた。

 置き換わるということは、オミクロン株の方がデルタ株よりそれだけ感染が広がりやすいということだ。

 英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームが12月16日に公表した推計では、オミクロン株への感染は2日間で倍増する勢いだとみられるという。

■国内で市中感染報告

 国内では22日、海外からの帰国者や渡航者ではない大阪府在住の3人がオミクロン株に感染していることがわかった。初めての市中感染者である。3人は親子で、別の家族や同僚も感染しており、オミクロン株への感染の可能性がある。感染経路は不明だ。23日には、京都府でも市中感染者が見つかった。

 市中感染が見つかるということは、国内でもすでにオミクロン株が広がりつつあるということだ。オミクロン株がデルタ株に置き換わるのは時間の問題とみられる。

 当初、オミクロン株に感染しても重症化しないのではないかという指摘もあったが、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの12月16日の報告書では、デルタ株と大きな変化はないとしている。実際、英国ではオミクロン株に感染して死亡した人がすでに10人以上いる。

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