木村さんが子どもたちに大切にしてほしいと考える四つの力「人を大切にする力」「自分を表現する力」「『自分の考え』を持つ力」「チャレンジする力」は、どれも目には見えないもの。成績や点数にならない分、どう育んであげればいいか親は不安になるかもしれません。

「将来を生き抜く力は、失敗し、考え、行動して学んでいくもの。校長や親も間違うでしょう。そうしたら大人も“やり直し”をすればいい。大空小の子どもたちは『校長先生、アホやな、それちゃうで』と言ってくれました。私も、『先生が悪かった。やり直しさせて』と何度もやり直しましたよ」

■全国1位の県を上回ることも

 大人が課題に向き合い、取り組む姿を見れば、子どもも自分で考え、チャレンジする力を育むと木村さん。勉強でも、わからないことを知りたいと思えばこそ、学ぶ喜びを自分で獲得していくと言います。

 実際、大空小学校では、全国学力調査の結果が、全国1位の県を上回ることもあるとか。

「学力が高いことだけが大切ではない。わが子のことばかり心配してしまう親御さんには、ぜひ学校に関わって他の子もサポートしてと伝えています。多様な子どもから親が学ぶことはたくさんありますよ」

 そばで見守る大人がどう行動していくのか。親である私たち一人ひとりにも大きな課題が手渡されたような気がします。

(ライター・玉居子泰子)

「AERA with Kids2021年冬号」より。本誌ではさらに詳しく「四つの力」について解説している。

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2021年 冬号 [雑誌]

朝日新聞出版

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2021年 冬号 [雑誌]
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玉居子泰子
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