タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

エッセイスト 小島慶子
エッセイスト 小島慶子

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 毎年の定期健診に加え、ここ数年は婦人科でホルモンチェックをしています。4年前ぐらいから女性ホルモンの値が徐々に落ちてきて、今年はいよいよ「更年期ですよ!」という数値になりました。今は月に1度の注射と、毎日おなかに塗るジェルで女性ホルモンの補充をしています。数年前から生理に伴う不調を軽減するために子宮内で黄体ホルモンを出すミレーナという器具を入れているため、ほぼ生理がない状態です(とても楽!)。それでも自前のホルモンの変調は体に影響しますから、更年期対策は欠かせません。

 かつて、更年期が怖くてなりませんでした。ある日ヘアサロンで目の前に置かれる雑誌が40代向けになり、どれも更年期特集があって、なんだかすごくつらそう……と怯えてしまったのです。そこでかかりつけの婦人科の先生に相談したら「大丈夫よ、今はいろいろな方法で軟着陸できるから。むしろ自分の体を知ってうまく付き合うことができるようになるチャンスよ」と言ってくれて、とても安心したのです。確かに、今は以前よりも自分の体に詳しくなったし、変化を穏やかに受け入れています。

 当事者になって思うのは「更年期」が笑い物にされているのはひどいよな、ということ。自然な生理現象なのに、テレビなどで女性をコケにする笑いのネタにされたりしています。生理に関することが真面目にオープンに語られるようになった今、更年期についてもそういう侮辱的な語りをなくしたいです。閉経は、約40年にも及ぶ毎月の出血からの解放。むしろ祝福するべきことでもありますから。

生理や閉経や更年期、誰もが生殖器まわりの相談を安心してできる環境を整えていきたい(写真:gettyimages)
生理や閉経や更年期、誰もが生殖器まわりの相談を安心してできる環境を整えていきたい(写真:gettyimages)

 それと「婦人科」って呼称も、ぜひ変えてほしい。子宮関連の相談をしたい人は「婦人」とは限りません。誰でも生殖器まわりの相談を安心してできる環境を整えて、生理にまつわる語りにリスペクトを。負の印象を変えたいですね。

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中

AERA 2021年12月27日号

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小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。共著『足をどかしてくれませんか。』が発売中

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