(撮影/写真部・馬場岳人)
(撮影/写真部・馬場岳人)

 コロナ禍でリモートワークが普及したものの、最近では以前のように出社への切り替えを模索する動きもある。そうしたなか、コロナ後の働き方として、注目されるのはリモートワークと出社を組み合わせた「ハイブリット型」だ。これまでの働き方に後戻りせず、進化が求められている。AERA 2021年12月20日号は、「ポストコロナ」特集。

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「言葉は選ばないといけないんですが……」

 千葉県に住む会社員の女性(37)は少し間をおいて、こう続けた。

「個人的には新型コロナのおかげで暮らし心地が良くなった部分もある、と感じています」

 夫と2人暮らしの女性が、緑豊かな環境で犬を飼う憧れの生活を実現したのは今年4月。後押ししたのは、コロナ禍のリモートワークの浸透だ。

「リモートワークが中心になるのを前提に、犬が飼える家を探し、都心の勤務先からやや遠い場所に思い切ってマンションを購入しました」(女性)

 女性の出社は週1日。夫は週2日だ。以前は30分程度で通勤できるエリアに住んでいたが、いまは1時間超。「通勤が苦」とまでは言えない距離だが、億劫(おっくう)に感じるという。

 在宅勤務は家事に時間を割きやすい。宅配便の受け取りがスムーズで銀行や郵便局、病院にも通える。新型コロナの第6波の懸念が去った後も、このライフスタイルを手放したくない、と女性は考えている。

「もし出社が前提になれば、転職を考えるきっかけになると思います」

 一方でこんな声もある。

 都内の企業に勤務する中間管理職の40代の女性は昨春以降、ほぼ在宅勤務が続いている。今後、出社日が増えると、「コミュニケーション面でのストレスが解消されるかも」と話す。

「オフィスだと、みんなの働きぶりを見ながら適宜声をかけられるのですが、リモートだと、キャッチアップが遅い部下に声をかけるタイミングが難しく、この1年半は試行錯誤の連続でした」

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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