AERA 2021年12月13日号より
AERA 2021年12月13日号より

 国内の投資信託市場では、純資産総額が1兆円に達すればメガヒットといわれる。飛ぶように売れる投信の裏で、強烈なリターンを叩き出すファンドがあった。AERA 2021年12月13日号の記事を紹介する。

【図】中小型株ファンド3年リターンランキングはこちら

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 利益が非課税になるつみたてNISAなどを通じて、投資信託(以下、投信)を買う人が増えた。つみたてNISAでは日経平均株価やS&P500など特定の指数に連動する「インデックスファンド」が売れ筋だ。

 インデックスファンドの人気の秘密は、コスパのよさ──つまり値上がり率もさることながら、保有中に発生する信託報酬というコストが割安であること。代表例が「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500」で、年0.0968%と激安である。おそらく純資産総額のランキングでも他を圧倒しているはず──。

 と思いきや、日本で販売されている投信全体の純資産総額を調査すると、ランキング上位は意外な顔ぶれだった。しかも1位と2位は“1兆円ファンド”である。「eMAXIS Slim米国株式」も5位に食い込んだが、ベスト10入りした他の9本はいずれもアクティブファンドだ。

■主流は信託報酬2%弱

 アクティブファンドはインデックスファンドのように「指数に連動」ではなく、「ベンチマーク(目標とする指標)を上回る運用」を目指すのが一般的。そのため運用担当者が調査を重ね、組み入れる株式や債券などを厳選する。インデックス運用と比べて手間がかかるので、信託報酬は高め。ランキングを見ても2%近いものが目につく。さらに3%台の販売手数料がかかるケースも多い(販売手数料はネット証券ならほぼ無料)。

 アクティブファンドは玉石混交。だが、今も昔も売れ筋投信のラインアップは、アクティブ運用タイプがほぼ独占しているのが現状なのである。

 これらの投信はなぜ売れているのか。そして老後向け資産運用の選択肢となるのか? 純資産総額ランキング上位の投信について、ニッセイ基礎研究所の前山裕亮さんに聞いた。

 まず、1位の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース」について。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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