秋篠宮さまは会見で眞子さんが結婚まで公を優先してきたこと、眞子さんとの海外旅行についても言及した。17年8月にはお二人でハンガリーを訪問
秋篠宮さまは会見で眞子さんが結婚まで公を優先してきたこと、眞子さんとの海外旅行についても言及した。17年8月にはお二人でハンガリーを訪問

 秋篠宮さまが11月30日に56歳の誕生日を迎えるにあたり、25日、記者会見が行われた。眞子さんやその結婚について語られた率直な言葉から見えてくるのは、皇室報道に対する問題意識だ。AERA 2021年12月13日号から。

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 2021年、秋篠宮さまが提起したのが、皇室の報道への向き合い方だった。

 眞子さんへのバッシングは、秋篠宮家にまで及んだ。秋篠宮さまは一つ一つの報道やSNSの情報に、否定も反論もしない姿勢を貫いてきた。佳子さま悠仁さまの結婚でも同様の事態が想定されるが、姿勢は変えないのかという質問があった。

■積極的な情報発信

 秋篠宮さまは「基準を設けて、それを超えたときには反論することも必要」という認識を示した。背景には眞子さんの複雑性PTSDがある。「深く人を傷つけるような言葉は、雑誌であれネットであれ許容できるものではない」とはっきり述べた。

 一方で秋篠宮さまは「反論」の難しさも語っている。ある記述を事実と違うと指摘すると「指摘しなかったことは、すべて正確」と見えてしまう懸念であり、全部を検証する労力であり、キリのなさだ。だからこその「基準」という問題提起だろうが、それも簡単とは思えない。

 秋篠宮さまの発言は「宮内庁とも相談しながら考えていく」というところまでだった。だが、秋篠宮さまは別の答えをすでに持っている──というのが、私の勝手な見立てだ。メモなし、自分の言葉で語る。その会見スタイルを一歩進めれば、答えは一つ。「皇室からの積極的な情報発信」になると思う。

 イギリスをはじめ各国の王室はSNSを駆使した情報発信を日常的にしている。公務だけでなく、家族の日々の様子などもどんどんアップしている。が、日本の皇室はその波に全く乗っていない。宮内庁のホームページがアップする写真はものすごく少なく、ものすごく遅い。秋篠宮さまが会見で「読んでいたら時間も足りませんし、目も疲れますし」と語ったネットの情報量とは、比べものにならない。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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