赤坂御用地を次女佳子さま、長男悠仁さまとともに散策する秋篠宮さま=2021年11月12日午前(写真:宮内庁提供)
赤坂御用地を次女佳子さま、長男悠仁さまとともに散策する秋篠宮さま=2021年11月12日午前(写真:宮内庁提供)

 11月25日、秋篠宮さまが30日に誕生日を迎えるにあたり、記者会見が行われた。眞子さん結婚が、皇族として「公」より「私」を優先しているという批判に対して、語られた言葉からは複雑な胸中が垣間見えた。AERA 2021年12月13日号から。

【写真】17年8月にハンガリーを訪問した秋篠宮さまと眞子さん

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 ニューヨークにいる小室眞子さんは、うれしかったのではないかなあ。11月30日、秋篠宮さまの誕生日にあたっての記者会見でそう思った。眞子さんの公務に邁進(まいしん)した姿をほめたのだ。56歳になる秋篠宮さまの、30歳になった娘を思う本当の気持ち。それが伝わってきて、心が動かされた。

 小室圭さんのことは、厳しく語った。今年4月に公表した母親の「借金問題」への説明文書を、「自分の口から話をして、質問にも答える、そういう機会があった方がよかった」と述べた。結婚に伴う儀式の中止を決めたのは自分で、その理由は「あれを読んでみんながすぐに納得できるというものではない」と判断したからだと説明した。

■「公」を優先してきた

 父の夫への苦言は、眞子さんにはつらいだろう。が、それはきっと結婚への道程で、わかっていたことだと思う。だけど自分のことを会見でほめてくれ、かばってくれることは予想していなかったのではないだろうか。と、これは私の勝手な推測だ。

 宮内記者会からの最初の質問に、「(眞子さんの結婚を通じ)皇族としての『公』と一個人としての『私』など皇室そのもののあるべき姿が議論されましたが、殿下はどのようにお考えでしょうか」というものがあった。秋篠宮さまは「公は常に私に優先されるべきものだと思います」と答え、こう述べた。

「彼女は結婚するまでの間、皇族でいる間、公的なものと私的なものとの場合には、常に公的なものを優先してきていると私は思います。これは海外の訪問も含めてですね」

 眞子さんが公務に熱心だったことは、11月1日号にも書いた。2015年にエルサルバドル、ホンジュラス、16年にパラグアイ、17年にブータン、18年にブラジルを訪問している。秋篠宮さまは「彼女は」と三人称を使いつつ、娘の働きぶりを訴えた。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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