岸田首相より17歳年下で、理念や政策が近い泉健太氏が立憲民主党の新代表に選ばれた
岸田首相より17歳年下で、理念や政策が近い泉健太氏が立憲民主党の新代表に選ばれた

 岸田政権の発足から2カ月余り。総選挙での絶対安定多数を確保するなど順調な滑り出しとなった。だが、来夏に参院選を控え、三つの難題が待ち受ける。AERA 2021年12月13日号から。

【写真】安倍晋三元首相と高市早苗政調会長

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 嶋田隆・首席首相秘書官、秋葉剛男・国家安全保障局長という「飛車・角」を実務の中核に据えて岸田文雄政権が発足したが、内外の動きは急でひと息つく暇もない。当面の難題は三つだ。

 第1に、オミクロン株への警戒や原油価格の急騰などによる経済情勢の変調である。オミクロン株に対し、岸田首相は外国人の入国禁止などを素早く打ち出したが、今後、感染が拡大するようだと、回復基調にある日本経済への打撃も予想される。

■原油高で参院選に影響

 原油価格をめぐっては、産油国の減産が続き、ガソリン価格などが高騰。米バイデン大統領は日本や韓国などに国家備蓄の放出で足並みをそろえるよう要請した。岸田首相は異例の備蓄放出に踏み切ったが、原油価格の低下にはつながらなかった。高値の原油が消費の冷え込みを招き、日本経済全体を減速させる可能性が出てきた。

 岸田首相は「新しい資本主義」を掲げ、中長期的には賃上げなどによる分配政策を進める予定だったが、経済の変調を受けて目の前の景気対策に取り組む必要が出てきた。しかし、日本の場合、年末に翌年度の予算案を編成し、年明けの1月から3月までは国会で予算案の審議が続くという政治スケジュールがある。4月までは新しい景気対策が打ちにくい構造になっており、来年春にかけて景気が急速に落ち込んだ場合、打つ手がないのが現実だ。それが政権批判につながり、来夏の参院選に大きな影響を及ぼすのではないか。自民党内ではそんな不安が出始めている。

■政策面で似る立憲代表

 第2の難題は自民党保守派からの批判だ。リベラル色の強い宏池会に所属してきた岸田首相だが、安倍晋三元首相や高市早苗政務調査会長ら保守派への配慮からリベラル色を抑えてきた。例えば選択的夫婦別姓について岸田氏は元々、賛成派だったが、保守派の意向を踏まえて先送りした。

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