村元、高橋組はフリーダンスで6位の108.76点。7位の小松原美、小松原尊組に4.69点差をつけた
村元、高橋組はフリーダンスで6位の108.76点。7位の小松原美、小松原尊組に4.69点差をつけた

トレーニングの成果

 高橋の体は今大会、明らかに大きくなっていた。

 本人も、それは感じている。

「全体的に一回りは大きくなったのかなと、自分の姿を見た時に思います」

 太くなった腕、広くなった肩幅、背中。積み上げてきた地道なトレーニングの成果に違いなかった。

 たった一つしかない北京五輪への切符を争う全日本選手権3連覇中の小松原美里、小松原尊組を合計で7・30点上回っての6位だ。昨季は2戦2敗だったライバルを、勝負の五輪シーズン初戦で上回り、立場を逆転させた。

 2年前、アイスダンス挑戦を表明した会見で高橋は、五輪出場については控えめに語っていた。

「本当に初めてのことで、可能性の部分では『もしかしたら少しのパーセンテージでもあるかな』って。相当大変だと思うけど」

 代表争いは12月の全日本選手権まで続く。小松原組がこのまま引き下がるはずもない。

 だが、この急成長だ。高橋にとって五輪はもう、決して現実味のない夢ではない。(朝日新聞スポーツ部・吉永岳央)

AERA 2021年11月29日号