元朝日新聞記者 稲垣えみ子
元朝日新聞記者 稲垣えみ子

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

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 新刊を出すことは、人生で最もうれしいことの一つだ。なんたって膨大な時間とエネルギーを一方的に投入する果てしない日々からの開放! 面白いものを書き上げられるか自分で自分を信じきれない恐ろしい闇からの脱出! うれしいというより盛大にホッとする解放の時である。

 だが余韻に浸る間もなく必死のプロモーションが始まるのであった。この世知辛いご時世、売れなきゃ次はない。できることは何でもやらねばなりません。

 といっても事務所に属しているわけじゃないので、個人的ツテをたどって出版記念トークやラジオ出演などさせて頂くわけですが、これはこれで貴重な機会である。トークの相手に憧れの人をオファーしたら受けて頂けたりして、やはり人間、結果はともかく動き続けることが大事なのだ。動けば出会いがあり、何かが生まれる。そう信じて前に進むしかないんだよね。

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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