※写真はイメージです(※GettyImages)
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 過熱する投資信託ブームの中、先行きが見えない株式市場に不安を抱く人も少なくないだろう。懸念されるリスクをプロはどう見るのか。AERA 2021年11月22日号は「投資信託」特集。

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 2018年1月にスタートした少額投資非課税制度「つみたてNISA」で投資信託(以下、投信)を積み立てていたら、当時の対象投信約100のどれを選んでいたとしても今年9月時点で“誰も損していない”という調査結果がある。4年弱の間にコロナ・ショックなど一時的な急落はあったが、下がっても積み立て続けたことで大きな利益が得られた。

 米国株の投信で積み立てていた場合、4年弱で投資元本は1.5倍以上に増加、つまり財布から出したお金が100万円なら150万円に。現在の定期預金金利0.002%に慣れてしまった(?)日本人からすると驚異的な増え方だ。実際に始めた人たちの“プチ成功体験”もSNSなどの口コミで伝わり、21年6月末には口座数が417万に到達した(金融庁「NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査」)。

■アクシデントが怖い

 417万口座と聞けば多く感じるが、日本の人口を考えればまだまだ少ない。いざ買おうと軽く検索してみても、いろんな投信がおすすめされていて初心者には選べない……。それもそのはず、日本で販売されている投信は5914本(投資信託協会「投資信託概況・9月中」)もあるのだ。

 数の多さに加えて、ビギナーには別の不安もある。「特に米国株が絶好調のようだけど、それってずっと続くのか? 買ったとたんに損したりしない?」

 いまネット証券などでよく売れているのは三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」だ。11月5日現在の純資産総額は7792億円だが、確かに“米国株が特に上がった”のはあくまでここ10年の話である。00年代前半は中国株が米国株以上に強い時期もあった。08年秋には米国の住宅バブル崩壊が元凶になったリーマン・ショックも発生。このとき、米国の株価指数S&P500は高値から約6割も下落した。その高値を回復するのに5年以上の時間を要している。最近の株式市場はあまりにも調子がよいので、何かアクシデントが発生するのでは?

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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