AERAの連載「はたらく夫婦カンケイ」では、ある共働き夫婦の出会いから結婚までの道のり、結婚後の家計や家事分担など、それぞれの視点から見た夫婦の関係を紹介します。AERA 2021年11月15日号では、日本の地のもの酒処「恵比寿 吉乃坐」代表の花輪成昭さん、女将の花輪明香さん夫婦について取り上げました。

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2010年、夫35歳、妻30歳のときに結婚。

夫 花輪成昭[47]日本の地のもの酒処「恵比寿 吉乃坐」代表

はなわ・しげあき◆1974年、本県出身。17歳で上京し、都内複数の和食店で修業。一時期クラブDJとして活躍しつつも料理の道を究めて独立し「恵比寿 吉乃坐」を開業。旬の味わいが際立つ料理を追求し今冬で12年目を迎える

 コロナ禍で通常営業ができなくなったとき、テイクアウトと通販を始めようと言ったのは妻でした。新たな許認可を取るだけでなく設備を変える必要もありましたが、彼女はやり通してくれました。おかげで収入面で助かったことは言うまでもありません。

 自分一人だったら、とてもできなかったと思います。休業要請には従うしかないとはいえ不安にならないわけがなく、ひそかに店を畳む覚悟をしていました。そうならずに済んだのはひとえに妻のおかげです。女将の仕事だけでなく、経営、経理、スタッフの管理など、一人で何役もこなしてくれて、ありがたいかぎりです。

 考えてみれば、家でも店でも一緒で、休日の外出も、服や音楽の趣味が似ているから一緒です。唯一の別行動は、アニメ好きの彼女が一人でアニメ映画を観に行くときぐらいかと(笑)。こんなにずっと一緒にいてもうまくやっていけるのは、夫婦であり仕事仲間であり、友達でもあるからかもしれません。

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