AERA 2021年11月15日号より
AERA 2021年11月15日号より

 スマホやゲームなど近視になりやすい状況が増えているいま、少しでも視力を維持したいところ。AERA 2021年11月15日号は、眼科医が実践する対策を聞いた。

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 仕事柄目を酷使する二本松眼科病院(東京都江戸川区)の平松類副院長も実践している方法で、特に日常に採り入れてほしいのが次の八つ。

(1)ベッドでスマホを見ない

 暗い所では、できるだけ多くの光を取り入れるために、目の瞳孔が開く。そのタイミングでスマホが発するブルーライトを間近で見ると、大量の光が目に入り、大きなダメージを受ける。さらに「夜のスマホ」は自律神経を乱す上、入眠ホルモンであるメラトニンの分泌を不十分にし、睡眠の質を低下させる。

 理想は、夜はスマホを一切見ない。やむを得ず見るなら、明るい部屋で、画面の明るさを抑え、目から離して、短時間に。最低でも絶対に守りたいのは、ベッドにスマホを持ち込まない、ということだ。

(2)屋外でちょこちょこ過ごす

 米国の研究で、屋外で1日2時間以上過ごす子どもは近視が少ないという結果が出ている。近視には遺伝因子も関係しているが、この研究では、両親とも近視の子どもも近視になりにくいとの結果だった。

■屋外で過ごすこと意識

 大人の場合、2時間も屋外で過ごすのは難しいが、起きたら朝日を浴びる、昼休みに散歩する、ランチに外に出るなど、ちょこちょこ屋外に出るよう心掛けるだけでも随分違う。朝日を浴びると、入眠ホルモン(メラトニン)の原料となるセロトニンの分泌がよくなるので、睡眠の質も高まる。

(3)定期的に遠くを見る

 パソコンやスマホの連続使用で近くを見続けると、ピントを調整する毛様体筋が凝り固まり、遠くにピントを合わせられなくなる。これが近視だ。

「近視対策には、遠くを見る時間を意識的に設けることが重要。30センチ未満の距離でものを見ている人と、30センチ以上で見ている人とでは、前者の方が2.5倍近視になりやすいという研究結果も報告されています」(平松副院長)

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