ひろなか・あやか/1991年、神奈川県生まれ。2013年、テレビ朝日アナウンサーに。「ノブナカなんなん?」などの番組を担当。著書に『弘中綾香の純度100%』(写真/テレビ朝日提供)
ひろなか・あやか/1991年、神奈川県生まれ。2013年、テレビ朝日アナウンサーに。「ノブナカなんなん?」などの番組を担当。著書に『弘中綾香の純度100%』(写真/テレビ朝日提供)

 幼い頃から本好きで、今も時間を見つけては本屋に通うというテレビ朝日アナウンサーの弘中綾香さん。AERA 2021年11月8日号で、自身と本の関係、自分の中で「両極」に位置すると感じる本を含むオススメ5冊を語る。

【画像】弘中さんのオススメ「両極本」5冊はこちら

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 子どもの頃から本が好きで、図書館に置いてある『かいけつゾロリ』や『ファーブル昆虫記』といった児童書を夢中で読み漁っていました。

 今も時間を見つけては本屋さんへ行って棚を物色しています。小説やエッセーが好きで、「あ、この作家さん、こんな本もあるんだ」とか、その時の興味の赴くままに手を伸ばすのが楽しい。読むスピードは速いほうだと思います。ただ、ペースは一定していなくて、2日間で4、5冊読むこともあれば、全く読まない月もあったり。

 本を読むことは、私にとって瞑想に近いかもしれません。数時間その世界に没入して、頭の中を1回リセットする感じです。

 俵万智さんの『サラダ記念日』は、たしか5年くらい前に本屋さんで見つけて手に取りました。誰もが知る超ベストセラーですが、表題の短歌は教科書にも載っているけれど、他の首はあまり読んだことがないなあと思って。状況や人物の関係性、その背後にある物語までを31文字で表現する。ミニマムに削ぎ落とされた言葉だからこそ鮮明に浮かび上がる感情や情景。「言葉ってこういうこともできるんだ」と驚嘆しました。

 私は学生時代、コピーライターに興味があって。コンパクトに相手に伝えることって、一見簡単そうに見えるんですが、実はとても難しいんですよね。俵さんの言葉は、一つひとつが直感的で、どれもすごく素敵。私も文章を書かせてもらっているので、とても参考になります。

 普段は難しい本とか哲学書は全然読まないんですけど、フロムの『愛するということ』は、友人にすすめられて読みました。初めて読んだのは5年くらい前ですかね。本当に難しくて、何度か読み返しているんですが、そのたびに「ああ、全然わかっていなかったな」と思います。もしかしたら今も3割ぐらいしかわかっていないかも(笑)。

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