村元哉中&高橋大輔(むらもと・かな、たかはし・だいすけ)/2020年からカップルを組む。シングルで五輪メダリストの高橋が再び五輪メダルをかけアイスダンスに転向した。昨季の全日本選手権2位 (c)朝日新聞社
村元哉中&高橋大輔(むらもと・かな、たかはし・だいすけ)/2020年からカップルを組む。シングルで五輪メダリストの高橋が再び五輪メダルをかけアイスダンスに転向した。昨季の全日本選手権2位 (c)朝日新聞社

 北京五輪に向けてのシーズンが開幕し、代表枠争いが早くもヒートアップしている。日本の出場枠は男女シングル各3枠、アイスダンス1枠、ペア1枠。その切符を手にするのは誰か。AERA 2021年11月1日号では、女子シングル、アイスダンス、ペアの各選手たちの現在のコンディションや戦略、各大会への意気込みなどを取材した。

【写真】日本女子のエース・紀平梨花

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 日本女子の3枠は混戦を極めている。エースの紀平梨花(19)は9月から羽生のコーチであるブライアン・オーサーに師事しトロントに拠点を移したばかりだが、右足関節骨軟骨損傷でGPシリーズ1戦目のスケートカナダを欠場。「今後の試合に向けて治療に専念します」といい、実績もあるため、NHK杯と全日本選手権に選考を賭ける。五輪までに4回転サルコーをどこまで仕上げられるかが重要になる。

 台風の目は17歳の松生理乃だ。伊藤みどりや浅田真央を育てた山田満知子、樋口美穂子の門下生で、トリプルアクセルを練習中。10月のジャパンオープンでは回転不足ながら片足で着氷した。ジャンプ力と美しい滑りとのバランスも魅力だ。

「シニア1年目なので、守りに入らず、しっかり自信を持って挑戦していきたい」

 4年越しで五輪を狙う樋口新葉(20)も、今季は初めてクリーンにトリプルアクセルを成功。

「4年前の悔しい気持ちを忘れず頑張ってきた。最後まで集中を切らさず自分の演技をしたい」

 と絶好調で、五輪レースで先陣を切っている。三原舞依(22)も、3シーズンぶりの国際大会となるアジアンオープントロフィーで坂本花織(21)を抑えて優勝。紀平の代打でスケートカナダ出場も決まり「五輪への思いは強くなった」と再起を誓う。

■ロシア女子は異次元

 平昌五輪を経験した坂本と宮原知子(23)はスロースタート。坂本は新プログラムの表現に苦戦し、宮原はジャンプで試行錯誤しているが、ともに実力者だけに、全日本選手権までには調子を上げてくるだろう。

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