クイズプレーヤー 伊沢拓司(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)
クイズプレーヤー 伊沢拓司(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)

 クイズブーム、そして東大生ブームを牽引していきたクイズプレーヤー、伊沢拓司さんがAERAに登場。幅広いメディアで活躍し続ける伊沢さんに、クイズの可能性を語った。AERA 2021年11月1日号から。

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 どうして何でも知っているんですか。ざっくばらんにぶつけると、「覚えることに分別がないんです」と答えた。

「知識を選り好みしないし、役に立つかどうかも考えない。知らないことなら何でも食いつくから、積極的なのか受け身なのかもよくわからない。僕が今までに会った“クイズが強い人”は、そんな人ばかりでしたね」

 開成高校時代に、「全国高等学校クイズ選手権」で、史上初となる個人2連覇を達成。東大大学院時代に出演したクイズ番組「東大王」でも優勝し、一躍注目を集めた。現在は、自身が設立した株式会社QuizKnockの代表を務め、エンタメ学習系YouTube番組の企画運営を行うほか、クイズプレーヤーやMCとしても数多くのメディアに出演している。

 一心不乱にクイズ道を歩んできたようにもみえるが、挫折もあった。

AERA 2021年10月25日売り表紙に伊沢拓司さんが登場
AERA 2021年10月25日売り表紙に伊沢拓司さんが登場

「本当は研究者になりたかったんです。でも、大学院でついていけなくなった。入って半年ぐらいで、『自分ぐらいの興味関心の強さでは周りの人に勝てないな』と思ってしまったんですね。同じ頃にQuizKnockを運営していたんですけど、そちらも最初はうまくいかず……。どっちつかずの日々に悶々としていました」

 そんな折、思わぬ出来事が起こる。

「『QuizKnockを見て大会を見学しにきました』っていう人が増えたんです。意外でしたね。それまでクイズは参加するものとしか考えていなかったので。『学校の授業に役立った』という声も聞くようになって、クイズには“新しい可能性”があると感じるようになりました。

 クイズだけしかやっていなかったら、もしかするとやめていたかもしれない。ネガティブな要因とポジティブな要因、どちらもあったから『自分にはこれしかない』と踏み出せたのだと思います」

(ライター・澤田憲)

AERA 2021年11月1日号