芳野友子(よしの・ともこ)/1965年、東京都出身。JUKI労組幹部やJAM副会長、連合副会長などを経て2021年10月6日から連合会長(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)
芳野友子(よしの・ともこ)/1965年、東京都出身。JUKI労組幹部やJAM副会長、連合副会長などを経て2021年10月6日から連合会長(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)

 労働組合を束ねる中央組織「日本労働組合総連合会」(連合)の8代目会長に、芳野友子さんが就任した。AERA 2021年11月1日号で今後の活動方針や総選挙への対応を聞いた。

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*  *  *

──連合発足当初、傘下の組合員は800万人いました。それが700万人に減っています。組合の存在意義や、今後の在り方をどう考えていますか。

 私の組合活動の原点は「制服のリボンとベルト」です。JUKIの組合で執行委員1年目だった時、昼休みに歯磨きをしていたら、隣にいた女性たちが、「制服のリボンとベルトがすぐ傷むから、貸与してほしいよね」と話しているのを聞きました。それを会社への要求項目に入れたところ、すぐに貸与してくれるようになったんです。組合員の声に耳を傾けて、コツコツと改善していくことが組合の役割なんだと再認識しました。

 それまでの組合活動は男性中心でしたが、女性が入ったことで新しい視点が生まれたと思います。いまも、まだ男性中心ですが、女性がもっともっと入っていくべきだと思いますし、年代層もばらけたほうがいい。育児や介護を担っている人やLGBTの方々など幅広い当事者が関わることで、課題解決のスピードを上げられます。小さな子供を育てていると組合活動まで手が回らない部分はあります。そこを克服していかないと。

■非正規の声を反映する

──若い世代は労働組合離れが進んでいると言われています。

 労働組合そのものが、世の中のみなさんに伝えきれていない。男性中心で堅苦しくて暗いイメージがあるんでしょうね。

──たしかに、集会の最後に拳を突き上げて、「ガンバロー三唱」をするなど、独特の雰囲気があります。

 ハチマキもしてね。私もやりました。組合活動は決して堅くないと思っているのですが……。「リボンとベルト」ではないですけど、職場のささいな問題をコツコツと改善していくのが組合の役割。働くみなさんから声を上げていただきたい。私たちも、発信力を強化していかなきゃいけないなと思っています。

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