占い師、作家 しいたけ.
占い師、作家 しいたけ.

 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:夫の両親と同居なんですが、義母が嫌いで嫌いで。過保護で過干渉ではあるけど鬼姑ではなく、基本的には人の良い方だと、頭ではわかっていますがとにかく見るのも嫌。理由もなくはらわたが煮えくり返るほどの怒りを感じます。この感情をやり過ごす方法はないでしょうか?(女性/会社員/50歳/しし座)

A:怒りって、やっぱり相手に何か期待しているときに出てくるものでもあると思います。全く期待をしていない人が残念な振る舞いをしても、出てくる感情は怒りではなくて、「あーあー」「あー、やってるやってる」なんです。

 例えば街中で飲み過ぎて吐いちゃっている酔っ払いを見ても、赤の他人なら「あーあー」って。飲み過ぎでしょ、とは思うけど怒りはそこまで湧いてこない。約束を守ってくれないとか、自分の何かが直接侵害されたとか、相手に期待を裏切られたときに怒りが出てくるんです。だから、何かしらの期待がご自身の中にあって、それが裏切られている状況があるのかもしれないなと推測しました。

 でも実際問題としては、家を出ていくわけにもいかないでしょうし、家の中の出来事にはなかなか逃げ場所がないように思います。時間をつくって喫茶店に行く、などはもちろんやってほしいですが、それでもお義母さんのことを思い出してしまうだろうし。

 こういう場合、自分自身を守るためにも、あと相手の尊厳を守るためにも、やってほしいのが「敵対姿勢をある程度見せること」です。しし座はストレスを自分の試練や修行に置き換えて、相手にいい顔をしてしまう人たち。

 でも、“協力し合うところは協力し合うけど、このテリトリーの中には絶対入ってこないで。入ってきたら手段を問いません”、そういう敵対姿勢を示すことは、一見残酷ですが、相手に対する最後の礼儀である気もするんです。こちらも勇気がいるし、相手ももちろんショックを受けるだろうけど、それを示さないと、陰で刺し合う関係になってしまいます。「またあんなことやって」「人としてどうかしてる」みたいに、相手の隙を探し出して四六時中文句の言い合いになってしまうんですよね。あなたのことが嫌いだから、と直接言う必要はないけれど「このテリトリーの中には絶対入ってこないで」としっかり線引きしてください。

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しいたけ.

しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「しいたけ. 公式サイト」では月刊占いやコラムを連載中。 https://shiitakeofficial.com/

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