米国や欧州のアレルギー学会をはじめ、日本小児アレルギー学会では、IgG抗体の食物アレルギーへの診断的有用性を公式に否定している。日本アレルギー学会も「診断法として推奨しない」と学会ホームページに明示している。

 さて、食物アレルギーが疑われる場合は、問診と前述のIgE抗体検査で診断する。

 IgE抗体検査には、疑いが強いアレルギーの原因物質を自由に選んで定量的に検査する方法(保険適用でできる項目は13項目まで)と、決まったアレルギー物質が数十個のパッケージになっていて半定量的に検査する方法がある。

「IgE抗体検査でもアレルギー症状の原因ではないものまで陽性と出る可能性がよくあり、パッケージ型での検査は、大まかな方向性を知るのには役立つかもしれません。しかし、正確に調べたいなら、問診で医師が必要と判断したものを選んで調べる定量性の高い検査がおすすめです。いずれも、検査で陽性=原因物質というわけではないことを理解しておくことが大切です」(今井医師)

 そして、IgE抗体検査もあくまで入り口に過ぎず、確定診断の根拠とはならない。

「原因と疑う食物で明らかな全身症状などが起こる上に、IgE抗体検査が陽性」といった場合を除き、アレルギーが疑われる食べ物を実際に食べて症状を観察する「食物経口負荷試験」を経て、原因物質を確定することになる。経口負荷試験は9歳未満、1年に2回までが保険適用だ。だが、実施する医療機関は限られ、小児ですら受けられていないケースが多い。保険適用とならない成人の食物アレルギーにはほぼ行われていないのが実情だ。

「小児で食物経口負荷試験を受けられない、または成人で食物アレルギーを疑うという場合は、IgE抗体検査の結果から、制限や除去すべき食べ物を指導してくれる医師を受診するといいでしょう」(今井医師)

 食物アレルギーを含めて、自分にどんなアレルギーや傾向があるかは非常に気になる。

次のページ