生サーモン(筆者提供)
生サーモン(筆者提供)

 先日、家の片付けをしていたら、大学の卒業論文の原稿が出てきました。

【写真】ハリセンボンの針の数は、本当に千本もある?

 題名は「服装雑誌における色彩外来語についての考察」。文学部の卒論としてはかなり異色のテーマですが、筆者はこれでなんとか卒業させてもらいました。

 内容は、例えば「サーモンピンクとコーラルピンク」や「エメラルドブルーとエメラルドグリーン」の違いを、ファッション雑誌の読者はどのように認識し、他人に伝える際には、どのように表現するのかということを、大学生へのアンケート等によって分析したものでした。国語学というより、社会学的な側面が強かったように思いますが……。

 今回もいきなり余談で恐縮ですが、サーモンピンクという言葉がある通り、サーモンの身はオレンジ色がかったピンク色をしています。でも、このコラムを読んでいただいている皆さんは、サーモンが白身の魚だということはご存知の方が多いと思います。

 サーモンが卵から孵化し、海に降下してオキアミなどの甲殻類を捕食するうちに、赤い色素を含むアスタキサンチンを体内に蓄積していくことで、身がサーモンピンクに変化していくんです。

 またまた余談になりますが、鶏の卵の黄身も、鶏が食べた餌によって色が変わるそうです。

 米の配合が多いと白っぽくなり、パプリカなど色の濃いものが多いと濃い黄色になるそうです。極端な例だと、ホウレンソウなどの緑色のエサを多く食べさせると緑っぽくなり、クワの実などの黒っぽい餌を与えると「黒い黄身」(と呼んでいいのでしょうか?)になるそうです。

 緑や黒の黄身って、一度見てみたくはありますが、食べたくはない気もしますね。

 ちなみに、サーモンピンクの要因であるアスタキサンチンには、ビタミンCの6千倍もの抗酸化作用があると言われており、最近ではアンチエイジングのサプリメントとしても注目されています。

「それならサーモンを食べればアンチエイジング効果が期待できるのでは?」と期待される方もいらっしゃると思います。

 もちろん多少の効果はあると思いますが、サプリメント1錠に含まれる量のアスタキサンチンを摂取するには、大型サーモンの半身程度の量を一度に食べる必要があるとのことです。アンチエイジングの前にカロリーオーバーの方が気になってしまいますね。

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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