大人のワクチン接種が進んでいるが、それに伴い子どもの感染の割合が増えている。学校生活と感染予防の両立が求められている (c)朝日新聞社
大人のワクチン接種が進んでいるが、それに伴い子どもの感染の割合が増えている。学校生活と感染予防の両立が求められている (c)朝日新聞社

 新規感染者に占める子どもの割合が増えている。高齢者に次いで20代以上でワクチン接種が進めば、いずれ新型コロナウイルス感染症は子どもの病気になるかもしれない。AERA 2021年10月4日号から。

【図】東京都の年代別新規陽性者数の推移はこちら

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 新型コロナウイルスの新規感染者のうち、子どもの占める割合が増えている。国立感染症研究所によると、18歳以下の子どもが占める割合は、4月以降、増加傾向が続き、9月13日から始まる週には全新規感染者の4分の1に迫る勢いになった。

 東京都では、5月末には新規感染者数に占める比率が10%だった20歳未満の子どもの感染が、9月7日からの週には19.2%になった。とくに10歳未満の比率が増えており、5月末の3.8%から9.5%になった。

 子どもの割合が増えている一番の原因は、4月からワクチン接種の始まった65歳以上の高齢者を中心に成人へのワクチン接種が進み、相対的に新規感染者数が減ってきているからだ。都の場合、5月末には60歳以上の新規感染者に占める割合が14.2%だったのが、9月7日の週は9.4%だった。その分、相対的に子どもの占める割合が増えてきている。

 この傾向は国外でも同じだ。イスラエルでは、7月5日までの1カ月間の新規感染者のうち51.4%が19歳以下だった。

■子どもの病気になるか

 米国では、9月9日からの1週間の新規感染者数のうち25.7%が17歳以下の子どもだった。米小児科学会によると、9月16日までに17歳以下の子どもが累計約551万9千人感染したが、うち92万5千人(約17%)は16日までの4週間以内に報告された感染者だった。

「高齢者に続いて中年世代、次いで20代以上でワクチン接種が進めば、いずれ新型コロナウイルス感染症は『子どもの病気』になるかもしれない」

 勝田友博・聖マリアンナ医科大学准教授(小児科)はこう指摘する。

 国内ではこれまで10代以下の感染者で亡くなった人はいなかったが、9月に入り、大阪府と横浜市で10代の感染者が計2人亡くなった。2人とも基礎疾患があったという。従来は重症化する子どもは少なかったが、デルタ株のまん延で増えているのだろうか。

 米疾病対策センター(CDC)は、米国内14州の新型コロナウイルス感染症による入院データを分析した。デルタ株がまん延する前の6月6日~7月3日の17歳以下の子どもの入院は、毎週10万人あたり0.3人だった。デルタ株がまん延するようになった8月8日からの1週間では同1.4人と、入院は約4.7倍増えた。

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