百音の気象予報士試験の勉強を後押しする菅波先生。押しつけがましくなく応援する様がいいとの声多数 (c)NHK

「今回の『モネ』は視聴率自体は比較していいとは言えませんが、アンチの意見はSNS上であまり見当たりませんでした。ハッシュタグもいくつか立っており、菅波先生と百音の2人を応援したいというファンがたくさんついているのでは」

■愛おしくて見守りたい

 朝ドラに関する著書があるライターの田幸和歌子さんが印象深かったのが、菅波先生が百音へ19歳の誕生日プレゼントを渡す第24話。百音が口にした「9月生まれ」「満月だった」「台風の日」というヒントから「1995年9月17日」と誕生日を割り出し、気象予報士の勉強に悪戦苦闘する百音に役立つだろうと中学の理科の教科書を贈る。

「誕生日なんて本人に聞けばわかるのに自分で調べ、しかも理科の教科書! 普通に考えると若干のキモさがありますが、恋愛に対する奥手さ、真面目さ、不器用さが表れていますよね」

「#俺たちの菅波」の「俺たちの~」はネット用語の一種で、性別とは関係ない。田幸さんが分析したところ、発信者には、何かしらの分野にオタク的要素を持つ女性たちが多いという。

「彼女たちは、誕生日を調べてしまったり、教科書をプレゼントに選んでしまったりする不器用な菅波先生に『わかる、わかる』と共感しているように思います。また同時に、菅波先生の奥手具合や真面目さが愛おしく、ハラハラしたりじれったく感じたりしながら見守りたくなる気持ちもあるのでしょう」

 田幸さんによれば、朝ドラのヒロインの相手役は、「奥手、不器用」が最近の傾向。「なつぞら」(19年)の坂場(中川大志さん)しかり、「スカーレット」(19~20年)で女性を中心に「#八郎沼」が盛り上がった八郎(松下洸平さん)しかり。

■どうしたの砲食らった

 菅波先生も百音に対し常に敬語。初の“脱敬語”となった「どうしたの?」は、そのたった一言だけで、ツイッターでは「どうしたの砲」という言葉まで飛び出し、「どうしたの砲で椅子から滑り落ちた」「どうしたの砲食らって朝から仕事にならない」など大騒ぎとなった。

 ただ、「モネ」は、ヒロインも恋愛に対して奥手で不器用。「なつぞら」や「スカーレット」は、ヒロインは情熱的で2人の関係が進展しやすかった。

「『モネ』のように、ヒロイン、相手役ともに奥手で不器用な似た者同士のカップルはこれまでなかった。『#菅モネ』というキーワードもあり、カップリングで2人を愛でる、アニメオタクなどでは定番の『カップル推し』も目立ちます」(田幸さん)

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