金沢大学 融合学域観光デザイン学類(仮称、設置申請中)/石川県金沢市。2022年4月開設。定員55人。人間社会学域地域創造学類観光学・文化継承コースから拡大・発展(写真:各大学提供)
金沢大学 融合学域観光デザイン学類(仮称、設置申請中)/石川県金沢市。2022年4月開設。定員55人。人間社会学域地域創造学類観光学・文化継承コースから拡大・発展(写真:各大学提供)

 コロナ禍で海外渡航ができない状況が続いていたが、留学再開も見えてきた。志願者が戻る可能性がありそうだ。AERA 2021年9月27日号は「大学入試」特集。

【国公立・私立大学】学部系統別志願者数の推移はこちら

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 コロナ禍で海外渡航が制限された影響が、大学入試にも及んでいる。21年度は国際・外国語系の学部の志願者が、国公立大、私立大ともに、前年と比べて大きく減った。在学生の7割以上が留学する東京外国語大学を始め、早稲田大学国際教養学部でも、一般入試の志願者数を数百人単位で減らした。駿台教育研究所・進学情報事業部部長の石原賢一さんはこう話す。

「国際系の学部は留学必須も多く、敬遠されたとみられます」

 コロナ禍で交換留学は、事実上中止となり、留学を卒業要件から外した大学も。一方、各大学はオンライン留学を始めた。

 学習院大学の国際社会科学部は、21年度の志願者数を約300人減らした。学部長の澁谷覚(さとる)教授はこう話す。

「コロナでTOEICなど英語の外部試験が実施されなかったため、外部試験を利用した入試方式を中止したところ、その分の志願者数が減りました」

 20年春出発の留学生はゼロ。秋に、希望者はオンライン留学ができるようになった。

「海外渡航が禁止された状況に対応して始めたオンライン留学でしたが、今では渡航を伴う留学が再開した後も続けていきたいと思います」(澁谷教授)

AERA 2021年9月27日号より
AERA 2021年9月27日号より

 語学に並行して、各国の学生とインターンシップをする4~5週間のプログラム。企業から課題を聞き、オンライン上で解決策を話し合った。

「人と働く上で信頼関係を築くことが大切ですが、オンラインと対面とでは勝手が違います。しかしコロナ後は世界中から志を同じくする者がオンラインで集まり、一緒に働く時代になります。学生たちにはそれを先取りしたのが大きかった」(同)

■就活前に留学の可能性

 今後の見通しも立ってきた。文部科学省は、ワクチン接種が進んだなどとして、留学の可否判断を各大学に委ねた。学習院大では、1年半ぶりに留学を再開。8月末から、約30人が世界各地の協定校へ旅立った。

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