父親であるエディンバラ公フィリップ殿下の葬儀に参列するアンドルー王子(前から2人目)とチャールズ皇太子(一番前)/2021年4月17日(写真:gettyimages)
父親であるエディンバラ公フィリップ殿下の葬儀に参列するアンドルー王子(前から2人目)とチャールズ皇太子(一番前)/2021年4月17日(写真:gettyimages)

 英国の王位継承順位9位の王子が性的虐待疑惑にさらされている。王子は荒唐無稽な弁明に終始。さらにはチャールズ皇太子にも問題が起きた。AERA 2021年9月27日号から。

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 アンドルー王子(61)はエリザベス女王(95)の第3子で次男。王位継承順位は9位だ。1982年のアルゼンチンとのフォークランド紛争では現地に向かい、ヘリコプターパイロットとして活躍した。凱旋時には、女王夫妻がポーツマス港まで出迎えるほどの歓迎ぶりで、王子はたちまち国民的英雄になった。

 しかし、その後の評判は芳しくない。交際した女性は千人を超えるとうわさされ、「ランディ(好色な)・アンディ」とあだ名をつけられた。

■写真は合成だと主張

 それでも86年にはセーラ元妃(61)と結婚、ベアトリス(33)とユージェニー(31)の2人の王女に恵まれた。しかし96年に離婚。英国の貿易・投資の特別代表になると、世界を飛び回ってぜいたくの限りを尽くしているとされた。次のあだ名は「エアマイルズ・アンディ」。カザフスタンの富豪が王子の豪邸を購入した際は、約3億7千万円を売値に上乗せしたとされている。

 未成年女性の性的人身取引を組織するジェフリー・エプスタイン(享年66)を王子に紹介したのは、同被告の元恋人ギレーヌ・マックスウェル(59)だ。彼女は「マダム」として君臨、生活に困窮する少女たちを次々に誘った。声掛けは優しく、「マッサージしてほしい人がいるの。お小遣いも稼げるわよ」だった。彼女は昨年逮捕された。

 被害者の一人ヴァージニア・ジュフリー(旧姓ロバーツ)さん(38)は今年8月、米ニューヨーク州マンハッタンの連邦地方裁判所に民事訴訟を起こした。彼女は17歳だったときに、エプスタインからアンドルー王子との性的関係を強制されたと訴える。エプスタインは、2019年、未成年者への性的虐待容疑で起訴され、裁判開始前に勾留中の施設で自殺したとされる。

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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