元朝日新聞記者 稲垣えみ子
元朝日新聞記者 稲垣えみ子
「これまでに明らかになっていない症状が出る可能性があります」。役所の説明書には公平な記述(写真=本人提供)
「これまでに明らかになっていない症状が出る可能性があります」。役所の説明書には公平な記述(写真=本人提供)

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【写真】ワクチン接種に関する役所の説明書

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 このところ、人と何気なく話をしていて、ところで……と恐る恐る切り出されるのが「ワクチン、打ちました?」。現時点での私の答えは「まだ打ってない」というものなのだが、それだけで皆さん盛大にホッとした顔をして「私も色々迷っていて……」と、あれこれワッと相談が始まる。

 いやー、よくわかります。私も最初は何の躊躇もなく打つつもりだったんだが、副反応を考えればフリーで働く身としては仕事のスケジュールを考えねばならず、具体的な副反応情報を調べるうちに「?」と思うことがあり、ここは慌てず納得いくまで情報を集めようと思ったら、たちまちそれが簡単じゃないことを思い知ることとなった。

 いや情報集めが大変だったわけじゃない。要するに、確かに副反応は軽くないし接種後に亡くなった人も少なからずおられる。でも国としては、社会的に許容範囲と判断して接種をオススメしているのだ。全体で見れば接種のメリットがデメリットを上回るという判断ですね。それはそれで私も理解できる。

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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