※写真はイメージです(GettyImages)
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(AERA 2021年9月6日号より)
(AERA 2021年9月6日号より)

 コロナ禍でママ友同士の付き合い方が大きく変化している。コロナへの警戒心からコミュニケーションがとりづらくなっているのはもちろん、コロナをきっかけに関係に溝が生まれることも。AERA 2021年9月6日号の記事を紹介する。

【子育て中の親たちが回答】落ち込む、困る…コロナ禍でのメンタルはどう?

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 コロナに対する価値観の違いから、家族ぐるみで仲良しだったママ友家族と“心のソーシャルディスタンス”が生まれてしまった家庭もある。

 小3の娘を持つ世田谷区在住の40代の母親は、子ども同士を遊ばせるため、仲良し家族数組との交流を続けていた。ところが、そのうちのママ友の一人がコロナにかかり、自分たちも濃厚接触者に認定された。

「うちはすぐにPCR検査を受けたのですが、もう1家族は父親が飲食系で働いていて、かつ奥さんが上場企業の役員。世間体を気にして濃厚接触者であるという事実を揉み消し、PCR検査も受けず、『うちは絶対に大丈夫だから』と日常生活を送っていました。この家族は自分の富が守れればいいんだなと、人間の本質を見た気がします。それからはなんとなく、気持ち的に疎遠になりました」

■親が自分を解放して

 園や学校、保護者同士の関係が希薄になる中、仕事の方は「密になりすぎ」と悲鳴を上げる保護者もいる。渋谷区在住の3人きょうだいの母親(46)は、コロナ禍以前には、子育てを理由に出なくても許されてきた夕方からのミーティングについて、オンラインだからと出席を求められるようになったと嘆く。

「『私も子どもいるから大丈夫よ。耳だけでいいから出てね』なんて言われると断ることができません。言われるままに出たら、あちらは旦那さんが食事の世話をしてくれていて、こちらはワンオペ。出席しても、結局話なんて聞けずじまい。夜の会議はこれからどう断っていけばいいのかと悩みます」

 今年2月に公表された国立成育医療研究センターの調査では、コロナ禍の子育てで、気分の落ち込みや憂うつさを感じると答えた保護者は、いずれの年代の子を持つ場合も5割を超える結果だった。特に、小学校入学のタイミングとコロナ禍が重なった小学1、2年生を含む層の数字が最も高い。仕事や家事、他人と仲良くすることに困ると答えたのも、0~2歳児、小学校低学年層を抱える保護者が最も多かった。

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