シンガポールの直近28日間の新規感染者の内訳(AERA 2021年9月6日号より)
シンガポールの直近28日間の新規感染者の内訳(AERA 2021年9月6日号より)
各ワクチンの副反応(AERA 2021年9月6日号巻頭特集「ワクチン3種 最新データ」より)
各ワクチンの副反応(AERA 2021年9月6日号巻頭特集「ワクチン3種 最新データ」より)

 新型コロナウイルスを収束させる要として、世界各国でワクチン接種が進められている。だが、デルタ株の登場で先行きは不透明になっている。ワクチン接種後に感染する例も報告されている。AERA 2021年9月6日号から。

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 日本政府は今、全ての対象者への接種を10~11月には終えることを目指している。

 しかし、米国やイスラエル、英国などの欧州諸国が今、検討したり、すでに実施したりしているのは、すでにワクチン接種が完了した人へのブースター、追加接種だ。

 一因は、接種から時間が経つにつれ、ワクチンによって体内にできた、新型コロナウイルスを攻撃する中和抗体が減ってくるからだ。もう一つの理由は、従来のウイルスよりも感染しやすいデルタ株のまん延だ。

「中和抗体が時間とともに下がるのは自然な現象です。『はしかのワクチンは一生もつのはなぜ』とよく聞かれますが、それは、周りに感染している人がいて、ウイルスに暴露されることでブースター効果が出る、つまり免疫が強化されていたからです。しかし、はしかのウイルスがほとんどいなくなった今、ワクチンが一生もつかどうかは不明です」

 東京大学医科学研究所の河岡義裕特任教授(ウイルス学)はこう説明する。

 新型コロナウイルスの場合、ワクチンによる中和抗体がどの程度下がると、どれだけワクチンの効果が下がるのかはまだ不明だ。また、ウイルスに暴露されると、はしかワクチンのようにブースター効果が期待できるのかどうかも不明だ。このため、イスラエルは重症化リスクの高い高齢者らに対し、すでに3回目のブースター接種を始めた。

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