平野歩夢がスケートボード男子パークに出場した。「高さや(ボードの)回しは、スノーボードからつながる部分。それは最大限出せた」 (c)朝日新聞社
平野歩夢がスケートボード男子パークに出場した。「高さや(ボードの)回しは、スノーボードからつながる部分。それは最大限出せた」 (c)朝日新聞社
AERA 2021年8月16日-23日号より
AERA 2021年8月16日-23日号より

 スノーボードの五輪銀メダリスト、平野歩夢が東京五輪のスケートボードに登場した。予選落ちしたが、二刀流で強くなったという。AERA 2021年8月16日-8月23日合併号では、半年後の北京五輪での活躍が期待される平野歩夢選手を取材した。

【表】こんなにいる!夏冬の五輪に出場した選手はこちら

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 冬季五輪のスノーボードで2大会連続銀メダルの平野歩夢(22)が夏空に舞った。8月5日に開催された東京五輪の新競技、スケートボードの男子パーク。予選14位で8人による決勝に進めなかったが、二刀流の挑戦に充実感を漂わせていた。

「スケートボードが確実に今の自分を強くしてくれた。悔いなく終われた」

 3回の試技で最も高い得点を競う同種目。平野は予選4組に登場した。1回目に空中で横に1回転半する大技ファイブフォーティー(540)を決めきれず、途中で演技を終えた。

 だが、2回目はすべての演技を成功させた。「スノーボードをやってきた側として唯一の武器」と自負する高いエア(空中技)を見せ、540も決めた。

■野球とバスケほど違う

 ただ、得点は62.03点と伸びなかった。競技歴が短く、二刀流のため練習時間も他の選手より少ない。繰り出す技が限られたためだ。最終3回目も540を決めたが、途中で落下した。

 平野は冬季五輪で日本人最年少のメダリスト。15歳で出場した2014年ソチ五輪のスノーボード男子ハーフパイプで表彰台に立った。世界最高峰の大会「ウィンターXゲームズ」では16、18年に優勝。18年平昌五輪でも金メダルにあと一歩まで迫った。

 東京五輪で採用されたスケートボードへの挑戦を表明したのは、その年の秋のことだった。

「正式種目になった以上、スルーするわけにはいかない」

 平野は4歳からスノーボードを始めるとともに、スケートボードにも親しんだ。自宅から車で1時間弱離れたスキー場に行けない日には、父・英功さんが設立・運営にかかわる地元のスケートボード場で滑りの感覚などを磨いてきた。

 二つの競技は、板に乗って滑るという点では似ている。だが、全く別の競技だという。過去にこう語っていた。

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