ミュージシャン Official髭男dism(撮影/TAKAHIRO TAKINAMI)
ミュージシャン Official髭男dism(撮影/TAKAHIRO TAKINAMI)
AERA 2021年8月3日売り表紙にOfficial髭男dismが登場
AERA 2021年8月3日売り表紙にOfficial髭男dismが登場

 今年で結成10周年を迎える、ミュージシャンのOfficial髭男dismがAERAに登場。名実ともに日本の音楽シーンのトップに立った彼らに、活動にかける思いを聞いた。AERA2021年8月9日号から。

【写真】蜷川実花が撮った!AERAの表紙を飾ったOfficial髭男dismはこちら

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 自然体で、飾らない。“ヒゲダン”の4人がスタジオに現れたときの印象だ。

 撮影の待ち時間には、スタッフと共に他愛ない雑談で盛り上がる。興味津々にモニターを覗き込んでは、被写体となったメンバーを見て、「いいねえ」と相槌を打つ。音楽番組の出演や雑誌の取材、アリーナツアーの準備と多忙な日々を過ごしているが、せわしなさを感じさせない。

 19時過ぎにセッティングされたZoomでのインタビューには、それぞれ自宅からつないだ。「配信者スタイル」と松浦匡希が大きなマイクに向かって冗談を飛ばした少し後、「お昼寝してました」と登場したのは楢崎誠だ。その姿を見て、ほかの3人がいたずらっぽく笑う。

 2012年に島根で結成し、16年の上京後はしばらく共同生活を続けた。今や数多のタイアップも抱え、ストリーミングサービス「Spotify」で2020年に国内で最も再生されたアーティストにも選出。名実ともに日本の音楽シーンのトップに立った。

「状況に不安を感じなかったわけではありません。でも、たとえばアリーナツアーを目前にすると、やりたいことがどんどん浮かんでくる。それを形にできる期待感は大きかった」(藤原聡)

 4分割された画面越しに、次々と言葉が溢れ出す。でも、誰かが遮られることはない。互いに尊重しあっていることが伝わってくる。

「10代から20代と年を重ねるなかで、朝までくだらないことで語り合う時間は減りました。仕事で過ごす時間が長くなり、プライベートを意識するようにもなった。でも、感覚としては同世代の人たちと同じような変化の仕方だと思う」(小笹大輔)

 メンバー同士の仲の良さについて尋ねると、藤原は照れながらも迷いなく答えた。

「バンドのプレーヤーである以前に、人間として幸せな時間を過ごしています」

 チャートを席巻しても、普通の感覚を忘れない。ヒゲダンが求められるゆえんだ。(編集部・福井しほ)

AERA 2021年8月9日号

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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