AERAの連載「はたらく夫婦カンケイ」では、ある共働き夫婦の出会いから結婚までの道のり、結婚後の家計や家事分担など、それぞれの視点から見た夫婦の関係を紹介します。2021年8月2日号では、小売業で事務職に従事する永井浩二さん、THE DAYでフリーランス広報を務める永井玲子さん夫婦について取り上げました。

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 夫40歳、妻28歳で結婚。カニンヘンダックスフンドのタロ(9)と3人暮らし。

【出会いは?】2004年、新卒で入社した妻が、先輩だった夫に一目惚れ。夫の行動パターンを読み、先回りして偶然を装って食事に誘うなど、かなりの猛アプローチをした。

【結婚までの道のりは?】出会って半年、深夜のファミレスで「なぜ付き合ってくれないのか」と口論に。夫が「いまは好きじゃないけどそれでもいいなら」と交際を承諾。4年後の09年に結婚。

【家事や家計の分担は?】食事・掃除は妻。ゴミ出しは夫。家事は「お互いしんどくなったら無理をせず、できる範囲でやる」が決まり。家計は、家関係は夫、それ以外は妻。個人の出費は別々。


永井浩二[51]
小売業 事務職

ながい・こうじ◆1969年、兵庫県生まれ。桃山学院大学卒業後、食品メーカーに就職。2010年にうつ病を発症。2度の休職を経て辞職。休養期間を経て17年、小売業に障害者雇用枠で採用。顧客名簿管理などを担当

 最初は彼女のアプローチにまったく気づきませんでした。12歳下の新入社員に追いかけられるなんて思いもしなかったし、そもそも結婚を考えたことがなかったんです。僕が高校生の時に母が脳幹梗塞で倒れ、父と姉が介護をしてきた。「自分だけ幸せになっていいのか」という思いもありました。でも彼女は事情を知った上で「なんとかなる」と。こんなに自分のことを考えてくれる人はもう現れないのでは、と結婚を決めました。

 ただ僕は結婚前から睡眠障害に悩まされていたんです。深夜まで働き、配送トラブルがあれば朝5時に起こされる。不眠から過食になり体重も30キロ近く増えた。仕事をミスしていないかと不安で家にも帰れない。結婚後に病院に行き「うつ病」と診断されました。いまも薬を服用していますが、問題なく仕事ができるまでになりました。

 しんどいときも楽しいときも分かち合ってくれる妻に感謝しています。自分の経験を生かせることがあれば、伝えていきたいとも思うんです。

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