12歳以上の子どもへのワクチン接種を推奨するかは、国により判断が割れる。夏季休暇中に接種を受ける生徒/7月19日、インドネシア(gettyimages)
12歳以上の子どもへのワクチン接種を推奨するかは、国により判断が割れる。夏季休暇中に接種を受ける生徒/7月19日、インドネシア(gettyimages)
AERA 2021年8月2日号より
AERA 2021年8月2日号より

 五輪開会式前日の7月22日、新型コロナ新規感染者数は東京で2千人近く、全国では5千人を超えた。ワクチン接種による重症化防止効果と副反応の重さや頻度は、子どもではどうなのか。AERA 2021年8月2日号から。

【図】米国の年代別ワクチン接種の利害予測はこちら

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 東京を中心に新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、夏休みに入った子どもたちに対する新型コロナウイルスワクチンの接種が各地で増えている。

 ファイザー・ビオンテック社製ワクチンは6月1日から接種対象が従来の16歳以上から12歳以上へと引き下げられた。加えて厚生労働省は7月19日、モデルナ社製も18歳以上から12歳以上に引き下げると決めた。12歳未満の子どもについてはワクチン製造各社が国外で臨床試験(治験)を実施中だ。

 重症化リスクの高い高齢者や持病のある人は、国際的に、接種のメリットが副反応によるデメリットより大きいと考えられている。しかし、子どもは国や地域で判断が異なる。

 米疾病対策センター(CDC)や欧州医薬品庁(EMA)は12歳以上の子どもに対しても、ワクチン接種で副反応が起こるデメリットよりワクチンによるメリットの方がはるかに大きいと接種を推奨している。

 メリットは重症化や死亡の予防だ。12~15歳(モデルナ製は17歳まで)を対象にした臨床試験では、発症を防ぐ効果は100%に近かった。新型コロナウイルスを攻撃する抗体が16~25歳のワクチン接種後よりも多くでき、重症化を防ぐ効果もあるとみられている。

■数日以内の心筋炎

 デメリットは副反応だ。発生頻度の高いものには、ファイザー社製ワクチン2回目接種後に成人では半数以上が経験する倦怠感や頭痛、4割近くが経験する発熱がある。こういった副反応は子どもにも起こる。

 成人では、2回目接種後の倦怠感や頭痛、発熱の発生頻度は、モデルナ社製がファイザー社製に比べて高い。欧米や英国では12~17歳にモデルナ社製の接種をまだ認めていない。

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