竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
ローソンでは学生さんからシニアの方まで幅広く活躍されています
ローソンでは学生さんからシニアの方まで幅広く活躍されています

「コンビニ百里の道をゆく」は、51歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

【写真】ローソンでは学生さんからシニアの方まで幅広く活躍されています

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 この春、社会人になった方は働き始めて3カ月が過ぎました。上司や同僚との関係に悩む人もいると思います。でもそれは「価値観のぶつかり合い」だととらえれば、見方を変えられるかもしれません。

 先日、日本企業の役員に占める女性の割合向上をめざす「30% Club Japan」の「TOPIX社長会」に参加しました。なぜ、女性の割合を増やすのか。それは、多様な価値観が企業の発展を生むからです。社会は男性、女性、LGBTQの方、外国の方、子どもから高齢者まで異なる価値観を持つ人たちで構成されています。企業も社会の一員。多様性を求められるのは必然です。

 でも人は生来、ややもすると同じ価値観の人に囲まれている方がコンフォータブル(快適で、都合がいい)。だから異なる価値観を持つ人を受け入れにくくなる。そんなことを考えていると、ある社長が会議中に「私は『社長に対して改善してほしいことを言う』を、役員にミッションの一つとして求めています」とおっしゃったんです。とても大事なことだと思いました。

 ローソンが幸せにしたいと考えているマチにはいろんな価値観を持った方がいる。ならば僕らも当然、働く中での様々な価値観を尊重すべきです。上司にもストレートに課題を言え、上司もそれをありがたいと思えるような組織でありたい、とあらためて考えました。

 新入社員の方は家庭、あるいは学校という社会から「会社という社会」に入った。その中でいろんな価値観の方をリスペクトし、尊重する。その訓練が必要です。時にアンコンフォータブルで、ぶつかり合うこともある。ただ、それは価値観のぶつかり合いであり、あるべき姿。だからこそ多様な価値観が生まれ、成長がある。人間関係の壁にぶちあたった時は、そう考えてみてはどうでしょうか。

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

AERA 2021年7月26日号

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竹増貞信

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竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

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