――10年ほど前に米国に渡ってから、日本における一般的なジャズのイメージの古さを、ことさらに感じるようになった。

 海外では若い人たちが新しい試みをしているのに、日本のジャズのイメージはとても時代遅れだな、という意識が強くなりました。時代に取り残されて逆行しているような印象があって、ジャズは黙って聞くもんだ、みたいな感じも含めて。到底若者がヒップだと思うようなものではないと。

■化石にはさせない

 でも、ジャズの歴史自体が、時代背景や文化的な要素をどんどん吸収し、ごちゃ混ぜになりながら発展してきているのに、日本のジャズだけ、昔のまま止まってしまうのは良くない。自分が変える、というのはおこがましいですが、今ニューヨークで触れるものを、そのまま日本に持ち帰って発表する、というのは、自分にできる責務かな、と思っています。ジャズが化石になること、それだけは絶対に避けないといけないですから。

(朝日新聞文化くらし報道部・定塚遼)

AERA 2021年7月19日号