■「光り輝くスター」に

――そんな変化の中で出合ったのが「バカレア」だった。のちにSixTONESとなる6人が、同じ高校の同級生役として共演し、グループ結成の原点でもある記念碑的作品だ。

 秋元さんにも「ご縁があるね」と言っていただきました。その頃と比べたら、デビューできて、世間の方に存在を少しずつ知っていただけている。目指しているのは、「ただそこにいるだけで光り輝くスター」なので、まだまだですけど(笑)。

「バカレア」で思い出すのは、映画版の撮影が終わった後の帰りの新幹線。みんなで泣いたんです。「もう終わりなのか」みたいな。グループではないけどグループみたいな時間が流れていたから、終わるのが寂しかったんです。「グループだったらいいのにね」と言って。

――当時の夢は6人でデビューすることだった。ドラマが終わってしばらくは「バカレア組」として活動したが、正式なグループではないため、やがて自然消滅した。数年にわたり別々に活動を続けたが、ジェシーが「またこの6人で何かできたらいいね」という思いをメンバーに伝えていき、6人の代表として故・ジャニー喜多川社長に直談判した。その思いが実り、15年に「SixTONES」が誕生する。

 こいつらとパフォーマンスしたら、また違った自分を表現できて、面白いものが作り上げられるのかなと感じたんです。

 俺はいわゆる正統派の「ジャニーズ系」ではないし、王道のアイドルではないというか……いや、アイドルなんですけど(笑)、「みんな~元気!?」みたいなことができるキラキラのアイドルではない。それが「王道のアイドル」だとしたら、俺は負けると思います。

 だけど、アイドルとしてどう存在感を高めていくのかに正解はないですから。表現者としてステージに立って、自分たちらしいパフォーマンスを披露する。そこにどれだけファンの人がついてきてくれるかという勝負だと思うんです。そういう意味で、SixTONESのメンバーは一緒に闘える仲間。全員「個」が強くて、自分が一番カッコいいと思ってますから。今考えてもすごくいい選択で、あちこち声をかけて思いを伝えた素直な自分の性格を褒めたいです(笑)。今、SixTONESは実家みたいな感じです。一人暮らしをしていても、帰る実家があるから安心できる。そんな感覚ですかね。

――作品名にちなみ、スタンディングオベーションをしたくなった瞬間を尋ねると、即答した。

(堂本)光一くんの、「Endless SHOCK」です。10歳のとき初めて見学して、衝撃を受けました。階段から落ちて血だらけになるわ、フライングするわ、殺陣もすごいわ。自分も舞台に立つ側になって、さらに尊敬が増したんです。光一くんにはとんでもない舞台魂があって、俺もあんなふうに人を感動させたいな、と。音楽の面では(堂本)剛くんのファンクサウンドがすごく好きで。個々にすごい二人がKinKi Kidsとして揃うと、また違う魅力を放つって、ズルいですよね! SixTONESもそうなりたい。個々に輝いて、集まるとさらに輝きを増す、そんなグループになっていきたいです。

(ライター・大道絵里子)

AERA 2021年7月19日号