■自ら探すには注意必要

 オンラインカウンセリングのcotree(コトリー)では、コロナ前の2019年の同時期と比べて3倍以上の利用件数があるという。14年のサービス開始以来、累計のカウンセリング件数は6万5千件超。代表の櫻本真理さんが説明する。

「環境との不適応が存在する適応障害では『休養してストレス要因を取り除くのが大事』と言われますが、それが簡単にできれば苦労しません。自分の課題、環境の課題と向き合う場としてカウンセリングがあります」

 オンライン化でカウンセリングルームを開設する側のハードルも下がったが、現在の日本では、カウンセリング業務を行うのに特定の資格は必要とされていないため、自分でカウンセラーを探す際は注意が必要だ。

 臨床心理士でNPO法人日本オンラインカウンセリング協会理事の中村洸太さんによれば、専門的な知識よりも虐待や離婚などの当事者経験をベースに支援を行うカウンセラーから、自分の経験にそぐわない相談であることを理由に相談が受け入れられず、二次被害が起こる事例もあるという。

「経験者のほうがつらさをわかってくれそう、という相談する側の気持ちもわかりますが、公認心理師や臨床心理士など専門的な資格を持っている人であれば、これまでに裏付けされた理論や知見に基づいた一定の質が担保されたカウンセリングが提供される可能性は高いと思われます」

 コトリーではカウンセラー登録の際には、資格と経験、知識、倫理観、人格などから総合的に審査を行い、通過するのは応募者の1~2割だという。

(ライター・井上有紀子、編集部・高橋有紀)

AERA 2021年7月19日号より抜粋