コロナ禍ではストレスもたまりやすい。自分でメンタルチェックをする必要もありそうだ。オンラインやアプリを使うのも一つの手(gettyimages)
コロナ禍ではストレスもたまりやすい。自分でメンタルチェックをする必要もありそうだ。オンラインやアプリを使うのも一つの手(gettyimages)
アプリ「ANBAI」の画面。スマホカメラに指を当てて、心拍を計測している。これで、自律神経の活動量とバランスがわかる(撮影/井上有紀子)
アプリ「ANBAI」の画面。スマホカメラに指を当てて、心拍を計測している。これで、自律神経の活動量とバランスがわかる(撮影/井上有紀子)

 コロナ禍で先行きが見えず、メンタルの不調を訴える人が増えている。そんな中、企業も個人もオンラインを活用する取り組みが活発化している。AERA 2021年7月19日号の記事を紹介。

【写真】アプリ「ANBAI」の画面。スマホカメラに指を当てて、心拍を計測する

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 職場の実情はどうか。企業に医師などを紹介する「エムステージ」の産業保健師の石倉恭子さんは昨秋から、異動や人の出入りの多い企業を担当している。

「コロナ前に担当していた企業と比べ、診断書では、適応障害が多くなった感覚があります」

 在宅勤務が増え、コロナで先の見通しが立たず、メンタルの不調を訴える人が増えたとみられる。とはいえ、メンタルヘルスに人手を割けない企業もある。そんな悩みをITで解決しようというアプリが、心拍を測るだけで調子がわかるDUMSCO(ダムスコ)(東京都)の「ANBAI」だ。スマホのカメラに指の腹を当て、心臓の鼓動を感知する。

「鼓動を打って、毛細血管に血液が巡る度に、目には見えにくいのですが、指先は赤く色づきます。指先の色の変化から、心拍のリズムを測定。そのリズムから自律神経の活動量を算出しています」(木下仁取締役)

■心拍はごまかせない

 人はストレスを受けると、交感神経が刺激されて心拍が上昇、心拍のリズムが崩れるときは、自律神経が乱れているとされる。心拍の解析は、宇宙飛行士の体調管理などでも使われている。

 ANBAIでは、300万人のデータから、エネルギーのレベル、自律神経のバランスを数値化。値は、疲労や睡眠不足が蓄積しているか、仕事に精力的に取り組めるかの指標になる。アプリは企業向けで、費用は1人数百円ほど。「心拍は無意識だから、ごまかせません」(同)

 コールセンター業「ベルシステム24」(東京都)は昨春からANBAIを導入し、社員60人が使用。上司が社員のエネルギーレベル、睡眠時間などを把握できる。個人に「要注意」などアラートが出たら、上司が声をかけるようにしている。加藤寛同社ソリューション推進本部長は言う。

「休みの日も、休み明けの日もエネルギー値が高いままの人は、心身が休めていないのかなとわかります。そんなときは、上司が『最近どう?』と声をかけやすくなりました」

 カウンセリングもメンタルの不調時に助けになる。特に時間や場所の制約がなく心理的・経済的な負担も少ないオンラインカウンセリングはコロナ禍で存在感を増した。

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