6日、赤羽一嘉国交相は宅地以外の盛り土も含め、全国にある盛り土の総点検をする必要がある考えを示した。

 太田さんも、マップに示されない、数多く存在する小さい盛り土にも注意を払うことが大切だという。大規模盛り土以外は安全かといえば、そうではないからだ。

 盛り土かどうか調べるには、現在と過去の地図を重ね合わせ等高線を比べることで、かつてそこが谷であったか平地であったかを調べることが可能だ。ネットでは、古地図と現代の地図を並べて見られる「今昔マップ」などが無料で公開されている。

 さらに太田さんは、自然の斜面でも土砂災害の起こる恐れのある危険な場所は全国にあると指摘し、「山はいつか崩れるもの」と考えておいてほしいと語る。

■ハザードマップ確認を

 現に、今回の現場となった逢初川沿いは、土石流や崖崩れなどのリスクが高い「土砂災害警戒区域」に指定されていた。全国に土砂災害の危険箇所は約66万もある。太田さんは言う。

「日ごろからハザードマップを見る習慣をつけることが大切です。習慣がつけば、自分が住んでいる地域にどのような災害リスクがあり、どのような被害が起きるかイメージできるようになります。そうすることで、実際に災害が起きた時の迅速な避難につながります」

 雨の多い季節は続く。住む場所のリスクを知り、対策を練り、被害を抑える。今一度、命を守る行動を徹底したい。(編集部・野村昌二)

AERA 2021年7月19日号

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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