都議選の半ばに退院し、当初の劣勢予想をひっくり返した小池百合子都知事。「勝負勘」は総選挙でも発揮されるか/7月2日、東京都庁で (c)朝日新聞社
都議選の半ばに退院し、当初の劣勢予想をひっくり返した小池百合子都知事。「勝負勘」は総選挙でも発揮されるか/7月2日、東京都庁で (c)朝日新聞社
もはや「選挙の顔」として期待されなくなった菅義偉首相。9月の自民党総裁選を前に総選挙に踏み切れるのか/7月5日、首相官邸で (c)朝日新聞社
もはや「選挙の顔」として期待されなくなった菅義偉首相。9月の自民党総裁選を前に総選挙に踏み切れるのか/7月5日、首相官邸で (c)朝日新聞社

 自民党の第1党奪還で幕を閉じた東京都議選。自民・公明両党では過半数には届かず、勝利とは言い難い。予想に反して、議席数を獲得した都民ファーストの会も同じだ。一方、野党共闘は一定の成果が出た。AERA 2021年7月19日号から。

【写真】もはや「選挙の顔」として期待されなくなったのはこの人

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 誰の目にも勝者不在の選挙だった。7月4日に投開票された東京都議会議員選挙(定数127)を総括するならば、その一言に尽きるだろう。

 4年前の選挙で歴史的惨敗を喫した自民党が今回は33議席を獲得し、都議会第一党に返り咲いた。国政で連立を組む公明党は全候補者が当選し、23議席を得た。それでも自民・公明両党は都議会で過半数を占めるには至らなかった。理由は「自民党が負けすぎた」からだ。

 都議選を仕切った自民党都連関係者の一人は、敗因に小池百合子知事の存在を挙げた。しかし、選挙期間中、4年前に「小池旋風」という流行語を生んだ張本人の姿は、ほぼなかった。

 それは告示3日前。突然の発表だった。小池氏が過度の疲労を理由に入院した。これには都民ファーストの会の候補者も、さすがに面食らったという。

「天下分け目の大戦を前に大将が不在というのは驚きました。本当のところ何が起きたのか。候補者本人はもちろん、党関係者も何も知らされていませんでした。この時点で『同情』と『批判』とでは、やや後者が多かった。前評判通りの厳しい戦いになるなと腹をくくりました」

 一方、自民党の候補者には、千載一遇のチャンスに映ったに違いない。何しろ、「都民ファーストの獲得議席は10議席に届くか届かないか」という事前調査まであり、小池氏への支持は誰の目にも低調だった。

■小池氏の勝負勘に脱帽

「現職を含め都民ファーストの候補者の中には、強敵はいなかった。正直に言えば、各選挙区でも(都民ファの)候補者と戦っているという感覚も薄かった。結局、誰が相手かというと、姿を現さない小池都知事、その人だけ。だからこそ、選挙終盤まで何を仕掛けてくるか分からないことは覚悟していたし、姿を現さないことも計略ではないかと思わせる不気味さがありました」(自民党都連関係者)

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