Cさん:今の子どもは大人が思っている以上に すでにジェンダーフリーの意識が根づいているような気がします。息子はサッカーをやっているのですが、クジ引きでキーパーを決めたとき女の子に当たって、その子がイヤだって泣いたんです。親たちは女の子がかわいそ うだから代わってあげればいいのに、と話していたのですが、子どもたちはクジで当たっ たんだからダメだって譲らなかった。大人よりフラットだなあ、と思いました。時代の変化も大きいですね。長女が小学生だった10年くらい前は母親オンリーだった学校行事も、 今ではお父さんもけっこう参加するようになっています。育メンという言葉もはやったように、育児に携わるのが当たり前と思うようになってきているなとつくづく思います。

木村:長年育児に携わっているCさんならではの視点ですね。たしかに時代は、少しずつかもしれないけれどちゃんと変わってきて いる。コロナ禍になって家族一緒の時間が増 えたこともいいきっかけになったのかもしれま せん。リモートなどで仕事をしているお父さん、お母さんを子どもが見ることもできたし。ちなみに、みなさんのパートナーは家事育児に積極的ですか?

Bさん:夫は家事も育児も非常に協力的で、お金の管理と買い物は夫担当です。以前、2人目の予防接種の管理が大変で私がゴタゴタしていたら「母親の君がちゃんとやらなくちゃね」と言われたので、「私は一度やったから次はあなたね」と必要な書類一式を渡したところ、その大変さに気づいて「今までやってくれてありがとう、どうもすみませんでした」 と言って、それからは可能な限りやってくれています。

Aさん:うちは、お互いにやれるほうがやる、というスタンスですね。予防接種の管理のようなものは夫担当です。具体的に数字を出すとそれを目標にやってくれるというか。

Cさん:うちも、私が働くようになってから積極的に手伝ってくれるようになりました。それでも比重はまだまだこちら側にあります。週末彼は朝ゆっくり寝られるけど、私は子ど ものお弁当をつくらないといけない。だから そんなときは選択肢を提示して選んでもらう ようにしているんです。たとえば朝に、お弁当、朝食の支度、洗濯、子どもの世話がある場合、どれならやってくれる?と。

木村:なるほど。やってよ、ではなく。

Cさん:不満があっても黙っていたら相手は気づかないですよね。だからできるだけ具体的に伝えるようにしています。

Bさん:私も苦手なことは最初から宣言して夫にやってもらいます。食事も「あのメニューが 食べたいなあ」と言って作ってもらったり。一方に負担がかかるのではなく、互いに協力しあって互いに感謝できるのがベストですよね。

木村:子どもにとって一番身近で一番影響を受けるのが両親の発言や行動だと思います。 子どもたちが将来ジェンダーバイアスで生きづらくならないよう、少しずつ変えていける といいですね。

(取材・文/篠原麻子)

※「AERA with Kids 2021年夏号」より抜粋

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2021年 夏号 [雑誌]

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篠原麻子
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