SNSから逃れたいけど、そう簡単にスマホは手放せない。みんな誰かから承認してもらいたいから(gettyimages)
SNSから逃れたいけど、そう簡単にスマホは手放せない。みんな誰かから承認してもらいたいから(gettyimages)
倉田真由美(くらた・まゆみ)/漫画家。一橋大学卒業後、講談社「ヤングマガジン」ギャグ大賞を受賞。代表作に『だめんず・うぉ~か~』など(写真:本人提供)
倉田真由美(くらた・まゆみ)/漫画家。一橋大学卒業後、講談社「ヤングマガジン」ギャグ大賞を受賞。代表作に『だめんず・うぉ~か~』など(写真:本人提供)

 インスタグラムに写真をあげて、ツイッターで気の利いた一言。いまや生活の一部になったSNSですが、ちょっとはまりすぎていませんか。「いいね」を期待しすぎて疲れる人が、多いんです。「いいね疲れ」を取り上げたAERA 2021年7月12日号の記事を紹介する。

【写真】不便すぎて人気のSNSはこちら

*  *  *

「いいね疲れと聞いて、あーよくわかるなぁと思いました」

 こう話すのは、漫画家の倉田真由美さん(49)だ。

 日本でも広く利用されているSNS「フェイスブック」と「インスタグラム」は今年5月、自分の投稿に共感を示す「いいね!」の数を非表示にできる機能を取り入れると発表した。

 他人からの「いいね!」の数を見えないようにできるほか、その数を他の利用者から見えないようにする機能も設ける。自分への「いいね!」の数を気にしすぎることによる「いいね疲れ」に対応するためだという。

 倉田さんは4月25日にツイッターを始めた。デジタルで漫画を描けるようになり、その発表の場として、のはずだった。しかし、ワクチン接種や外出自粛など「社会的なこと」についてのいくつかのつぶやきが「炎上」。レスポンスや引用リツイートを追い続けるうちに、早くも「ツイ廃」(「ツイッター廃人」の略。ツイッターの過度な利用で日常生活に支障をきたすこと)を体験したという。

「生活の中で、仕事よりもツイッターの方に心を持っていかれ、時間を割かれてしまう状態でした。いちどツイ廃をやってからは、レスポンスを全部は追わないなど、多少気を付けるようにはなりましたが、それでもLINEやメールよりも先にツイッターを立ち上げ、1日に何回もつぶやいてしまう日々です」

■気になる「いいね」の数

 そんなツイッター漬けの中、「いいね」の数は倉田さんもとても気になると言う。

「漫画を見てもらいたくて始めたはずなのに、必死で描いた漫画は『いいね』が140。でも社会的なことには2千くらい。何だか素直に喜べない(笑)。ただ『いいね』がたくさんつくのは、やはりうれしい。私にとっては、自分の考えていることに対して承認される喜び。そこが大きいのだと思います」

著者プロフィールを見る
小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

小長光哲郎の記事一覧はこちら
次のページ