すてきなパートナーと結婚しているはず。学生生活を謳歌して希望する会社に就職するはず。思い描いた希望は果たして── (c)朝日新聞社
すてきなパートナーと結婚しているはず。学生生活を謳歌して希望する会社に就職するはず。思い描いた希望は果たして── (c)朝日新聞社

 2020年の東京五輪までには○○したい──。そんな目標を立てた人は多かったはず。それぞれ思い描いた未来予想図はどうなったか。AERA 2021年7月12日号から。

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 五輪が人生の区切りになった人もいる。横浜市のIT企業に勤める女性は30歳だった。

「友だちが結婚、出産したと報告するSNSの投稿を横目で見て、何かと焦る時期でした」

 そこに五輪が拍車をかけた。友だちがこうしゃべっていたことを覚えている。

「五輪の頃は35、36歳だから、それまでに結婚したい」
「子ども2人くらいほしいね」

■五輪前に滑り込み再婚

 女性は2歳の息子のシングルマザーだった。東京五輪の頃、息子は10歳になるし、自分はアラフォーになると気づいた。

「20年までに自分を変えよう。私だって、五輪を大切なパートナーと観戦したい」(女性)

 そんなふうに、1年以上先の目標を立てたのは久しぶり。再婚を目指して結婚相談所に入ったものの、うまくいかない。

「私が派遣社員だったので、相手の条件ありきで選ぶから、何度も失敗しました」(同)

 飲み会で、同世代や職場の先輩に何度相談したか。自分がキャリアアップすれば、相手を条件で選ばなくてよくなるはずと、正社員になった。気づくと、30代後半になっていた。

「パートナーと五輪観戦は無理かなって、チケットも買っていなかった」(同)

 昨夏、知人の紹介で男性と出会い、今春に37歳で再婚。図らずも、五輪前に滑り込んだ。

「五輪がなかったら、再婚できていなかったかも。いまは夫と一緒にニューヨークに移住するために英語を勉強しています。新しい家族とのライフイベントが私の目標です」(同)

 オランダ駐在の会社員男性(35)は当時27歳。同僚と「結婚してるかなあ」と考えた。

「結婚は私にとってかなり遠い夢でした。当時は恋人もいませんでしたし、あと7年で、自分の身に何が起こるのか、期待より不安の方が大きかったです」

 その後、結婚して子どもにも恵まれた。今度はもっと身近な目標を立てるようになった。

「専門性を高めたくて、18年にUSCPA(米国公認会計士)資格の勉強を始めました。2年後に迫った五輪と自分の合格とどっちが早いか勝負、といったノリで、五輪までの合格を目指しました」(男性)

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