「電鍋」とは、「大同電鍋」という台湾の電気鍋のことを言う。台湾では一家に1台どころか、統計では「一家に1.7台」所有しているとされ、「嫁入り道具の定番」にもなっている。

 オレンジ、ミントなど、台湾らしい色展開。日本でも楽天に公式ショップがあるほど電鍋のラバーは多く、そのかなりの割合の人が、電鍋をミニチュアサイズにした小物入れと並べて見せる収納をするなど、ただの鍋以上の熱い愛情を注いでいる。

■ジーパイは食べ歩く

 前述のタピオカドリンクなど、世界を席巻する台湾発の食べ物は多い。ガイドの趣味も以前から、台湾グルメを自宅で再現すること。日本でもブームの兆しがある巨大鶏の唐揚げ「ジーパイ」や台湾スイーツなど、さまざま手がけている。

 例えば最近のヒットは、「仙草ゼリーのかき氷」。手製のタピオカと芋圓と呼ばれる芋の団子、台湾のローカルスイーツ仙草ゼリーに、近所のコンビニで買った和風のかき氷をイン。また巨大鶏の唐揚げ「ジーパイ」は専用粉を入手して、本場の味に。台湾のジーパイは食べ歩きされることが多いので、わざわざ紙の袋に入れて、おうちで歩きながら食べるところまで再現してこそマニアだ。

「一方電鍋は毎日の食事に大活躍。毎日ゆで卵を作っているほか、下の段でごはんものを、上の段で餃子(ぎょうざ)を蒸すなど、二段調理もよくします。もちろん魯肉飯(ルーローハン)などの台湾メニューにも、電鍋の出番は多いです」

 そんなガイドのキッチンで、台湾らしさのトドメをさしているのがナイロン製の漁師網バッグだ。軽くて丈夫、しかも台湾では日本円で数百円と安いので、「買い物バッグとしてはもちろん、子どものおもちゃを入れたり、野菜を入れたり」、インテリア雑貨としても使い道は大。さらにガイドは、台湾の洋服店の店先で見つけた漁師網バッグの進化系といえる、カラフルなドリンクホルダーにハートをわしづかみ。

■タピオカは日本の緑茶

 店主のエコやエシカルへの取り組みや使いやすさなど、知れば知るほどそのドリンクホルダーにほれ込み、直談判。3年ほど前には、日本に輸入してオンラインストアまでオープンさせる。ガイドがオーナーを務める「台湾雑貨タピオカ商店」は現在も各色のドリンクホルダーを並べて絶賛営業中だ。

「台湾の食べ物や雑貨は自然に恵まれ、おおらかな人が多い台湾だからこそ生まれた“作品”。タピオカドリンクの人気ですか? 大丈夫。タピオカドリンクは日本でいう緑茶みたいな存在。何百年経っても、残ります」

(ライター・福光恵)

AERA 2021年7月5日号