■米国は日韓関係に不満

 一方、船越局長は21日午後、韓国外交省の李相烈(イサンヨル)アジア太平洋局長と協議した。2人は報道陣公開の場で、「肘タッチ」であいさつした。日韓首脳会談の開催を巡ってもめた主要国首脳会議(G7サミット)とは好対照の場面だった。

 日米関係筋によれば、「同盟強化」を打ち出すバイデン政権では最近、順調な欧州との関係に比べ、進展がみられない日米韓協力へのいら立ちが募っているという。米国は従来、徴用工や慰安婦の訴訟を巡って、日本政府の立場を支持してきたが、自分たちの戦略に影響が出てきたため、G7で日韓会談に慎重だった日本に不満をぶつけ始めたという。船越局長の「肘タッチ」は、米国の不穏な空気を和らげる狙いがあったのかもしれない。

 来月の東京夏季オリンピック開会式の際に親善外交が展開できるかどうかが、日韓関係を巡る次の焦点になる。(朝日新聞記者・牧野愛博)

AERA 2021年7月5日号より抜粋