夜はファミレスで塩分の少ない海鮮丼と味噌汁のセット(塩分3.1グラム)を注文。醤油は使わずワサビだけ、味噌汁の汁は半分残した。帰宅後のビールのお供は無塩ピーナツ。

 それにしても、コンビニやスーパーの総菜コーナーには塩を含まない食べものがほとんど売られていない。日常は塩分に包囲されていることを思い知る。

 2日目。グラノーラなんて一体いつ以来だろう? ヨーグルトと牛乳をかけて食べる。昼は時間がなかったこともあり、バナナ2本で済ませた。

■生のきゅうりが甘い

 夕食は社員食堂で。味噌汁や冷ややっこの味が少しだけ濃く感じるのは気のせいだろうか。ああ、魚介ダシのきいた醤油ラーメンが恋しい……。

 3日目。朝食のグラノーラは早くも食べ飽きた。気分をアゲるため、昼食にステーキを食べる。おや? ワサビだけでも十分おいしいな。生のままかじったきゅうりやミニトマトにも甘みを感じる。

 夕食のアボカドのサラダは、オリーブオイル、酢、コショウを混ぜ合わせた塩なしドレッシングで。十分な満足感。炒めてコショウを振っただけのズッキーニも素朴な味わいでいい感じ。これって味覚がリセットされた証拠だろうか?

 こうして3日間のチャレンジを終えた記者は、再び摂取食塩量を量ってもらうためAGE牧田クリニックへ。目標はWHOが推奨する「1日5グラム未満」だが、果たして──。

「おお、よかったですね~、6グラムですよ!」

 世界基準には一歩及ばなかったものの、日本高血圧学会の基準はぎりぎりでクリア。ホッと胸をなで下ろす。

 帰り道、自分へのご褒美として念願の醤油ラーメンを食べた。数日ぶりのいつものラーメンは、びっくりするほど塩辛く、水を4杯も飲み干してしまった。

 味覚は無事リセットされた。ソース焼きそばにソースをかけるなんて、もう二度としないと心に誓った。(編集部・藤井直樹)

AERA 2021年6月28日号