イラスト:土井ラブ平
イラスト:土井ラブ平

 体調改善は時間がかかるというけれど、効果があるならやってみたい。そんな要望に応えるべく、疲労のデトックスを、編集部員が短期間、実際に試してみた。AERA 2021年6月28日号から。

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 この数年、朝すっきりと起床できたことは一度だってありません。とはいえ、眠り続けることもできない年になったのか、夜明けに目を覚ましてはスマホでメールチェック、その日マストの活動開始時間を逆算して二度寝三度寝に入るスタイルを貫いている。

 毎朝痛切に思うことは、「ギリギリまで寝ていたい」。朝食はいいや、ごみ出しは帰宅後に後回し、身だしなみは申し訳程度に最低限。日常を少しハッピーにするかもしれないあれこれをぜーんぶ切り捨て、在宅ワークの日なら寝間着のまま机に移動して始業する。

 そんな生活を続けてはや1年になる。運動はいっさいしていないのに、仕事をしてるかゴロゴロしてるかのほぼ二択なのに、疲れているかと問われれば、「超だるいです」と即答できるのだから、ホントに不思議だ。

■「疲れてないです」

 だが、この疲労感は脳によるものらしい。そして、疲労度は計測できるという。ある6月の昼下がり、東京疲労・睡眠クリニックに梶本修身医師を訪ねた。

 編集部から同行したのは、毎朝決まった時間に出社し、退勤時刻も夜遅めの男性デスクだ。4月に着任してからというもの、業務が雨と降り注ぎ、昼食をとる時間もままならず、「3キロ痩せた」と聞いていた。さらには五輪担当でもあるから、疲れ果てているに違いない。

 親しみを込めて水を向けると、思わぬ答えが返ってきた。

「あ~、俺、疲れていないと思いますよ。すこぶる快調です」

 そんなはず、きっとない。だってここは週刊誌編集部だ。最初に狙いを定めた編集長は多忙すぎて診察に行く時間すら調整できなかった。その編集長も男性デスクの疲労具合には太鼓判を押していた。

 クリニックで行っている疲労・ストレス判定では、心拍・脈拍変動を計測し、交感神経・副交感神経のバランスに加え、自律神経機能年齢を見るという。診察室で呼吸を落ち着け、指の腹を計器にあてて2分ほど待つ。果たして我々は疲れているのか、気のせいなのか。渡された紙を食い入るように見る。

 男性デスクの自律神経機能が若々しい。実年齢を下回っている。これが規則正しい生活の効果だろうか。だがちょっと待て、交感神経が著しく優位だ。

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