■スパイスカレーの効果

 水毒は食事からも対策できる。東京・大塚の「氣生薬局」代表で、漢方処方歴27年の久保田佳代さんは、生薬入りの薬膳スパイスカレーを開発、カレーのセミナーも開催している。

「スパイスの多くは漢方の生薬に置き換えられます。生薬には幾通りもの効能がある。陳皮(ちんぴ)は胃腸の弱りにも効果的ですし、肺機能を良くして咳の改善にも役立ちます。スパイスカレーは、水毒はもちろん、さまざまな健康効果が期待できます」

 久保田さんのセミナーでは、鬱金(=うこん、ターメリック)、馬芹(=うまぜり、クミン)、胡ズイ(=くさかんむりに妥の旧字体)子(=こずいし、コリアンダー)を基本に、参加者各人が好みの香りや味のスパイス約10種類を混ぜてオリジナルスパイスを作る。「好み」と感じる生薬が、その時の体調に応じたものだという。

 今回は初心者向けに、三つの目的に応じた配合を教えてもらった(下記)。

「さらに生薬を足すなら、胃腸を強くするカレーには山査子(さんざし)、笹、我朮(がじゅつ)、余分な水や脂肪をため込まないカレーには菊芋、蕃石榴(ばんじろう)、連銭草(れんせんそう)、冷えやむくみを解消するカレーには南蛮毛(なんばんげ)、枸杞子(くこし)、紅花(=こうか、サフラワー)がお勧めです」(久保田さん)

 つくるのが手間だという場合、市販のカレールーに生薬を振りかけてもいいという。夏の不調改善にも効くデトックスカレー、刺激を楽しく食べこなしたい。

■基本のカレー
【材料】(4~5人前)
A[唐辛子、カルダモン(割っておく)、コリアンダー、フェヌグリーク、クミン(すべてホール)…各大さじ1/2] オリーブ油…適量 にんにく…1片 生姜…1片 玉ねぎ…中2個 カットトマト缶…1缶(400ml) 鶏もも肉などお好みの肉…400g
【作り方】(1)鍋にオリーブ油を入れ、弱火から中火で熱し、Aのホールスパイスを入れ、香りをつける。焦がさないよう注意。(2)みじん切りしたにんにくと生姜を入れて炒め、香りが出たらみじん切り玉ねぎを加える。透明になったらカットトマト缶、一口大の鶏もも肉、水250ccを加え、Bのパウダースパイスを大さじ2(味をみて加減)ほど加える。(3)20分ほど煮込み、塩(分量外)で味を調えて完成。

■Bパウダースパイス
夏に弱りがちな胃腸を強くする
ターメリック、コリアンダー、クミン…大さじ1と1/3 クローブ、オレンジピール、フェンネル、カルダモン…各小さじ2

余分な水や脂肪をため込まない
ターメリック、コリアンダー…各大さじ1 クミン…大さじ2 シナモン…大さじ1 フェヌグリーク、レッドペッパー…各小さじ2 サフラワー、ジンジャー…各小さじ1

冷えやむくみを解消する
ターメリック、コリアンダー、クミン…各大さじ1と1/3 スターアニス…大さじ1/2 シナモン、フェヌグリーク…各大さじ1 レッドペッパー…大さじ1/5

(ライター・羽根田真智)

AERA 2021年6月28日号