スパイスの多くは生薬に置き換えることができる。効能を知って自分の状態に合ったスパイスカレーを調合したい(撮影/写真部・張溢文)
スパイスの多くは生薬に置き換えることができる。効能を知って自分の状態に合ったスパイスカレーを調合したい(撮影/写真部・張溢文)
AERA 2021年6月28日号より
AERA 2021年6月28日号より
AERA 2021年6月28日号より
AERA 2021年6月28日号より

 水の飲み過ぎは水毒を招き、体重増加や冷え、免疫低下などさまざまな不調をもたらす。AERA 2021年6月28日号は、対策として心掛けたい生活習慣を医師らに聞いた。

【チェック表】あなたは大丈夫?「水毒」のサインはこちら

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 それはよくあるコロナ太りのはずだった。東京都在住の女性(36)は、身長160センチ、体重50キロを維持してきた。だが、1度目の緊急事態宣言中に3キロも太った。

 元の体重に戻したいと、女性は、炭酸水で空腹を和らげ摂取カロリーを抑える「炭酸水ダイエット」を開始。炭酸水メーカーを購入し、毎日2リットルほど炭酸水を飲むようにした。

 だが、体重はむしろ増え、半年経つ頃には体重は58キロ。下腹部から足の先が冷えるようになり、生理周期が不順に。耳鳴りまで起こるようになった。

「これは何かがおかしい」

 そう考え、知人の紹介で漢方医を受診するとこう指摘された。

「体重増加や冷えは体内に余分な水がたまったのが原因。冷えて卵巣や子宮の働きが悪くなり、生理不順が起こったのでしょう。耳鳴りも、水がたまりリンパ液が増えたことが関係するのでは」

 女性のような状態を、東洋医学では「水毒」という。漢方医学や食事療法を行うイシハラクリニック副院長の石原新菜医師はこう解説する。

「『水毒』は、水分がうまく排泄されないために起こるさまざまな不調です。湿度が高くなる梅雨時期に、特に起こりやすい」

■水毒で代謝と免疫低下

 水には体を冷やす働きがあり、体にたまると内臓を冷やし、中でも腸や腎臓などの機能を低下させる。血流を悪くし、むくみや冷え、体温の低下を引き起こす。体温が1度下がれば、代謝が12%、免疫が約30%低下すると言われ、太りやすく免疫も落ち、感染症にかかりやすくなるという。

 冒頭の女性は漢方医の指示に従い、炭酸水をやめ、毎日30分間のウォーキングとスクワットを行い、入浴時は湯船につかるようにした。すると体重は減り始め、3カ月ほどで元の体重に到達。耳鳴りも消えていた。

 石原医師はこう警告する。

「熱中症対策で水分摂取を心掛けている人も多いでしょう。しかし、冷房の利いた部屋で過ごし、汗もかいていない状況で水を頻繁(ひんぱん)に飲めば、水毒を招く可能性が高くなります。水分の取り過ぎによって夏バテや夏の食欲減退を起こす人は、珍しくありません」

 水毒対策として心掛けたいのは以下の四つ。日常では喉が渇いた時だけ水分を取る。腹巻きなどで腹部は温め、体を冷やさない。入浴はシャワーだけで済ませず湯船につかる。そして、スクワットのような下半身を鍛えるトレーニングを行う。下半身の筋力が衰えると、代謝がより悪くなるからだ。

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