AERA 2021年6月28日号より
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AERA 2021年6月28日号より
AERA 2021年6月28日号より

 梅雨から夏にかけて、何だか体がだるく疲れやすい。実はその疲労は、体ではなく脳の疲労が原因かもしれない。AERA 2021年6月28日号は、脳疲労を取り除く食材や方法を紹介する。

【図】脳疲労の蓄積度かんたんチェックはこちら

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 脳疲労のデトックスには、食事も有効だ。

 疲れをとる食事といえば、ニンニク料理や焼き肉などスタミナ食を思い浮かべがちだ。だが、慢性的な栄養不足に悩んでいた時代は別として、「普段から栄養過多である現代人に疲労回復効果は期待できない」という。

 特に夏バテ対策として定番のウナギは、脂肪分が多く高カロリーだ。消化器官に負担がかかって胃もたれや便秘が起こり、それを調整しようと自律神経が過剰に働くために、より疲労する可能性すらあるのだという。

では、脳疲労に効く食べものとは何か。03年、東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身医師らの研究チームは、イミダペプチドという成分に優れた抗酸化作用があり、脳疲労を軽減する働きがあると明らかにした。

 イミダペプチドとは、アミノ酸が複数連なった成分の総称だ。摂取したイミダペプチドは、体内に吸収されてからヒスチジンとβ‐アラニンという2種類のアミノ酸に分解されて血液中に入り、脳まで運ばれる。そして、自律神経の中枢でイミダペプチドに再合成され、抗酸化作用を発揮する。脳の疲れにピンポイントで働く優れものだ。

「効率よくとれる食材は、鶏のむね肉です。100グラムで1日分の目安である200mgのイミダペプチドを摂取することができます」

■涙活でリフレッシュ

 イミダペプチドはコンビニで売られているサラダチキンからも、手軽にとることができる。

「イミダペプチドの長所は、脳で長時間作用すること。しかも、人は自律神経の中枢という疲れやすく老化の激しい場所に、イミダペプチドの合成酵素を持っています。疲れがたまっている場合、2、3日で効果を実感する人もいます」

 長引くコロナ禍も脳疲労がたまる要因のひとつになりうるという。菅原脳神経外科クリニック院長の菅原道仁医師(50)は、外出自粛要請が続く中では、アクティブレストが不足しがちだと指摘する。アクティブレストとは、脳が活動的なままリフレッシュできる攻めの休息のことで、喜怒哀楽の感情を解き放つことで得られる。

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